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「トリック・オア・トリート!」
「・・・は?」
ソファに座りながら本を読んでいる神威に飛びついた名前。彼は勢いのあまり、本を落としてしまう。
なんなんだ、と神威はあきれながら名前を見つめる。彼女は嬉しそうに笑いながら神威の上に身を乗り出す。彼は彼女の行動がよく分からず、首を傾げた。
「いきなり何だ」
「去年教えたじゃん、お菓子くれなきゃいたずらするって!」
「・・・ああ、それか」
神威は去年もそんなこと言っていたな、と頭の片隅に追いやっていた記憶を思い出した。
去年は昴流がたまたまお菓子を持ち合わせていたからその場を凌いだが、今は神威一人。お菓子を持っているはずがない。
「で、神威。お菓子ないよね?」
「・・・はぁ」
神威は、いたずらしたくて堪らなそうにしている名前を見て小さく溜息をつき、上にのっている名前を抱き込んだ。
「ちょっと、何!?」
「・・・うるさい」
「えっ」
神威はうるさい名前の口を自分の口で塞いだ。最初は抵抗していた名前だが、神威が彼女の手首をつかみ抑え込むと途端に大人しくなる。数秒もしないキスだが、名前にとっては何十秒にも感じ、口が離れた時には恥ずかしさを隠すため神威にもたれかかった。
「いきなり、何するのよ・・・」
「別に、菓子の変わり」
そう言って、神威は落とした本を拾ってまた本を読み始めた。もちろん、名前を抱きかかえたまま。
「いたずらさせてよ。ケチー」
「うるさい・・・なんだ、足りなかったのか?」
神威はめったに見せない笑顔で名前の顔をのぞきこんだ。名前は顔を真っ赤にしてもういい、と小さな声で言う。
ちなみに、昴流が戻ってくるまで名前は神威に抱きかかえられていた。
2014.1031
2022.0708 加筆修正
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