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「昴流ー、お菓子ちょうだい!」
「急にどうしたの名前?・・・て、ハロウィンだったね」



 手を昴流に差し出しながら名前はお菓子を求めた。昴流はカレンダーを見て納得したのかポケットをあさり、飴とチョコレートを名前の手にそっと置いた。
 名前は昴流がお菓子を持っているとは思っていなかったのか少し驚き、そして残念そうにお菓子を受け取った。



「どうしたのこれ?」
「前に小さな子供と遊んでいた時にもらったんだ。お礼にって」
「そう言えば、そんなことがあった気が・・・しないでもない」



 昴流は前の世界で一度迷子になっていた。
 名前と神威が見つけた時に昴流は小さな広場で子供たちと遊んでいたのだ。多分その時のだろう。名前は昴流から貰ったチョコレートの包みを開きながら思い出していた。



「名前はさ、ハロウィンで言うセリフ覚えている?」
「ん?えっと『お菓子くれなきゃいたずらするぞ』ってやつ?」
「そうそう、『トリック・オア・トリート』」
「・・・・え、なにその手」



 昴流はにこやかに手を名前向けた。名前は昴流の意図が読めず、首をかしげる。


「だから、お菓子かいたずらか・・・名前はどっちがいい?」
「どっちがって・・・ちょっ、待って」


 昴流は名前を壁際に追い込みながら迫った。そして、逃げられないように方手を壁についた。所謂壁ドンというものだ。
 昴流は顔を名前に近づけながら片手で頬を撫で、唇に指を滑らした。



「す、昴流。どうしたのこんなに積極的だっけ?」
「ん?・・・この際だから便乗しようかと」
「だからって神威に見られたら」
「神威はまだ帰ってこないよ」



 昴流はニコニコと名前の顎に手を添え顔をさらに近づけた。あと数センチで口が触れ合うという距離で名前はぎゅっと目をつむった。そして、静かな空間に小さなリップ音が響いた。



「はは、名前顔真っ赤だね・・・」
「昴流も十分赤いよ・・・」



 触れるだけの小さなキスだったが、二人にとってはとても刺激のあることであり共に顔を赤くしていた。
 そのあと、また顔を合わせるまでに時間が掛かったそうだ。


2014.1031
2022.0708 加筆修正

 
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