「ところで保科ゆき乃さん」
「え?はい」
少しだけ思考がトリップしてた私に、改まった黎弥くんの声が届いた。
身体を黎弥くんの方へ向き直して表情を伺う。
「このままウチまでドライブっつー事でよろしいでしょうか?」
ニッと笑う黎弥くんに、ボンと顔から火が出たかと思うくらい熱くなった。
これをOKしたら…そういう事だよね?
待て待て、急展開すぎやしないか?
いやでも、もう大人なんだし…それに勿体ぶる年齢でもないってか。
でもでも…恥じらいくらいは持ってますよ、私だって。
チラッと服の中を確認するように服を少し引っ張ると、「アハハ」と黎弥くんが大笑いした。
「なにチェックしてんの」
「…いや、だって…」
「下心がないわけじゃないし、正直ありありだけど…でも大事なのはゆき乃の気持ちだって分かってるから」
「黎弥くん…」
「一緒に過ごしたいだけだよ、ゆき乃の特別な日を」
ポンッと頭に触れた黎弥くんの手に、「うん」と返事をして頷いた。
いつだって私に正直な気持ちを伝えてくれていた黎弥くん。
これからは私も…――――自分の気持ちをちゃんと届けたいと思う。
ずっとずっと、黎弥くんのそばにいたいから。
「黎弥くん、大好きです!」
想像できないような困難が待っていようとも、乗り越えられると信じてる。
黎弥くんと一緒なら大丈夫だって。
誕生日に起きた奇跡を、永遠にするために――――。
End