その言葉を貰うまで、正直忘れてた。
誕生日だからって…あれだけ願ってたくせに、黎弥くんの車に乗り込んだ時からそんな事は私の頭からすっ飛んでいて。
「知ってたんですか?」
「当然!オレを誰だと思ってる!」
――私が宇宙一大好きな人です。
「だから…今日?」
「狙ってたわけじゃないけど、今日までには何とかしたかったんだよ」
そう言って黎弥くんが私の手を包み込む。
身体はもう離れてるのにドキドキするのは、黎弥くんの言葉の裏に隠されたものが少し見えたからかもしれない。
黎弥くんは、そうと決めたら曲げない人。
ビシッと一本筋が通ってる…真っ直ぐな人だから。
私の手に触れてる黎弥くんの手に、もう片方の手で上から触れた。
その行動に目を見開いた黎弥くんが、ジッと私を見つめる。
「黎弥くん…もしかして、私の為に…?」
「違う、オレのため。もちろん最初からそのつもりだったけど…ゆき乃が素直にならねぇ理由が、誓約書のことがあるからだって知らなくて」
「……」
「だったら、オレが解決させればいいだけじゃね?って思ってさ」
「私がもし…黎弥くんの事好きじゃなかったらどうするの?」
私の言葉に、「それはないっしょ」って自信満々な答えが返ってきた。
令和はきっと、私の不安を解決しようと…会社に話したんだと思う。
そういう事を報告する義務があるのかどうかは私には分からないけど。
私が残れるように話してくれたんだと思う。
だから…「会社やめなくていい」ってさっき言ってたんだって。
私の気持ちを理解して、そこまでしてくれた黎弥くんに大きな愛を感じずにはいられない。
例え公(おおやけ)に出来ない恋だとしても、それでも…黎弥くんを信じていれば、大丈夫だって思える。
「今度、一緒に会社に報告な」
「…はい」
「それとハルちゃんも…」
「はい……あっ!」
ハル…完全に忘れてた!
慌てて携帯を取り出して着歴を見てみるけど、
「あれ?」
不思議な事にハルからの着信が一件もない。
そんな私に、黎弥くんがクスッと笑って、「大丈夫。夏輝くん行ってるから」とこの状況を把握してる黎弥くんは一人で楽しそう。
澤くんが行ってるなら…ま、いっか。
もしかしたらハルと澤くんも報告するような事になってんのかも。