03


荒北と始めて屋上で会ってから1週間後の昼休み、名前はクラスを一通り見て荒北がいない事に気がついた。もしかして、と思いそのまま屋上へと向かう。

「荒北くん、いるのー?」

屋上に出ると1週間前に荒北がいた場所へと声をかける。

「おーいるよォ。」

眠そうな声が返ってきた。

「寝てたのー?」
「んー起きてるゥ。」
「何してるのー?」
「なんもォ。」
「暑くないー?」
「気持ちーヨォ。」
「…私もそっち行っていいー?」
「えっ。」
「えっ、ダメだった?」

そこでやっと荒北が顔を出した。

「…べつにいいけどォ。」

名前はニコッと笑うと、ドア横のはしごを登る。

「わぁー思ったより高いねー。」
「ハッ、お前結構怖いもの知らずなんだな。」
「うーん、そうかなぁ?」
「普通女子なら、こんな高いと『キャーコワァイィー』とか言うんじゃねーの?」
「荒北くん、キモい。」
「うっせ!」

二人でケラケラと笑う。

「こないだと言うか今まで情けない姿をお見せしましてお恥ずかしいやらなんやらで…。」
「アー、まぁこちらとしては楽しませて頂きましたのでェ。」
「楽しむもんじゃありません!」
「いや、ウケるだろ。みんなからチヤホヤ高嶺の花とか言われてる奴が、本当は違いました、なんてさァ。」
「…うん、そうだね。自分にも問題あるって荒北くんに言われて、あーやっぱりそっかって思ったの。」

この1週間、色々と考え、今まで思ったりしていた事は、結局人のせいにしてばかりいた事に気がついた名前。少しずつでいいから、自分を見せ本音を言える友達を作りたいと荒北に話す。

「あーいいんじゃねェ?」
「きっかけをありがとう。」
「アァ?礼を言われるような事なんもしてねーけどォ。」
「そう?でもありがとう。」
「ヘイヘイ。」
「ねぇ、これからも時々ここに来て話し相手してくれる?」
「…べつにィ。ここオレの場所じゃねーし。好きにすればァ。」
「うん、じゃぁ好きにする。」
「アーそろそろ時間だな、戻るかァ。」

と荒北は立ち上がり、ハシゴに手をかける。
もうそんな時間かと思い、下り始めた荒北に続き名前もハシゴに手をかけた。

「おっ…ま!オレが下りてからにしろよ!」
「えっ、なんで?だって時間が…。」
「チッ、少しは考えろよ!見えてんだよ!」
「何が?っていうか、途中で止まらないでよ。」

そう名前に言われてまた下り始める荒北。

「チェック柄だよ!」
「はぁ?チェック…!ちょっ…わぁ!」

名前は、残り数段のところで下にいる荒北に自分の下着が見えてる事に気が付き慌ててスカートに手を当てるが、バランスを崩し落ちてしまった。

「いたた…。」

思ったほどの痛みはないが、軽く左肩と左足を下に打ち付けた。

「ってェー。」

軽く済んだのは、名前の下に荒北がいたからだった。

「重いんだよ!」
「わっ、ごめんなさい!」
「いや、そんな重くねーけど…。」
「えっ、あ、うん。」
「いーから、早くどけ!」

慌てて起き上がり荒北の上から退いた。

「本当、ごめんね…。ケガとかしてない?大丈夫?」
「アー平気ィ。」
「ありがとうございました。」
「いや、こっちこそアリガトウゴザイマシタ。」
「えっ。」
「オレ、お前のパンツよく見るかも。」

はっとして真っ赤になる名前。そんな名前を見て楽しそうに笑う荒北に名前はなぜかドキッとしてしまった。




2019.11.14


monoGatari