04
数ヶ月経った今、名前はいつもの様に屋上に来ている。
「今日ね、友達に感じが変わったって言われたの。」
「ヘェー。」
「話しやすくなったし、よく笑うよねって。」
「ヘェー。」
「やっとここまでこれたよ。」
「ヘェー。」
「…荒北くん、聞いてないでしょ。」
「聞いてる、聞いてる。」
荒北は、名前の話よりも少し気になっている事があった。
それを名前に言おうか少し迷っている。
「…何かあったの?」
いつもと変わらない返事ではあるが、やはりいつもとは少し違う荒北に名前も気になった。
「んー、お前さァーさっき……アー何でもねぇ。」
途中まで言いかけ、まるで嫉妬でもしているような気になり、荒北は話を止めてしまうが名前には何の事かが分かった。
「あぁ、さっきの…かぁ。見てたの?」
「ばっ、ちっげーよ!見えたんだよ!」
「ふーん。」
さっきのとは、名前が告白されているところだ。一時期は無くなっていたが、最近友達にも言われるように、話しやすく声もかけやすくなった事で、時々告白される事があった。
「お前って、ほんとモテんのなァ。」
「私には分からない。」
「オレなんて告られたことすらねーし。」
「めんどくさいだけじゃん。」
「めんどくせーの?」
知りもしない相手から告白されても、何も思わないし、相手が私の事を本当に知ってるのかすら疑問なのに、何故そんな相手に告白なんかしてくるのか理解が出来ないと荒北に言う。
「でも付き合ってくうちに知ってくのもアリなんじゃねェの?」
「やっぱり思ってたのと違いましたってなるのが目に見えてるよ。」
「フゥン。」
それに名前には好きな人がいる。もちろん相手は荒北だ。
以前いつもの様に屋上で話している時、新学期当初の話をしていた。
「そういえば、4月の最初の頃、私荒北くんに何かした?」
「ハァ?なんでェ?」
「なんか睨まれてたから。」
「アァ?睨んでねェ。」
「睨まれてたって。」
「ンァ?覚えて…あぁ、思い出したワ。」
思い出すように考え込む荒北の顔がはっと変わった。
「なに?」
「別に大したことじゃねぇよ。ただ、こいつが屋上で叫んでたやつかって。ただァ見てただけェ。」
「なんだ、私に惚れたとかじゃないのか。」
「ハアアアァ?んな訳ねーだろ!」
「知ってます。冗談ですよ。あんな睨まれた目を見てそんな事思いませんよ。」
「だァから、睨んでねーつのォ!」
この時、名前は違うと分かっていながらも残念と思ってしまった事に気付いた。その後、なんで残念なんて思ったんだろうと考えてみれば、荒北の事を好きだったからだと、そこで名前は荒北への恋心を自覚した。
「お前は、好きなヤツっていんの?」
「はっ?」
「いや、なんとなくゥ?」
まさか、荒北にそんな事を聞かれるとは思ってもみなく、答えに困ってしまう。
「あっ荒北くんは?」
「ハァ?お前に聞いてんだけどォ?」
「私も荒北くんに聞いてるんだけどー?」
「……オレは、…いねーよ!」
溜めといていないのか!と突っ込みたくもなるが、いないと言われて少しホッとする名前。
「私も、いないよ。」
と嘘を言う。
2019.11.16