01
「それがさぁー思ったりよ、新開くんと接点作れなくて。」
「それなら荒北と付き合ってても意味ないじゃん。」
「んー、でももう少し我慢してれば、繋がり出来るかもしれないし。」
「アンタ、友達ながら嫌な女だなって思うよー。」
「えー、目つきも悪いし口の悪い荒北となんて、他に目的がない限り付き合わないって。」
大学1年生の時、初めて告白されて彼女が出来た。わりと美人で、少しワガママなところもあるが、それも可愛いと思っていた。付き合って3ヶ月目、まさかすぐ近くにオレがいるとも知らずに悪びれる事もなくそんな会話をしている彼女に対して、一気に気持ちが冷めた。
それからは、女はという生き物を信用する事はなくなった。
『いま何してる?』
社会人3年目。新開とは偶然勤務先が近く、よくこうやって連絡がくる。
『仕事終わったとこ』
『じゃぁ、いつもの店にいるから待ってるな』
「その前に、普通暇か聞くんじゃねェのかよ。」
メールを見ながら、ブツブツと文句を言ってしまうが、金曜夜だというのにどうせする事もないので店へと向かった。
「靖友、こっちだ!」
「おぉ、おまた…」
新開の向かいには、知らない女が座っている。
「もしかして、デートォ?」
彼女でも紹介したかったのかと思った。
「いや、ただの同僚だよ。」
「ふーん。」
もう一度チラッと女を見てから荒北は新開の隣に座った。
「オレ、お邪魔じゃナァイ?」
そう彼女に言うと、キッと睨まれて
「お邪魔じゃない!…です。」
と言われた。
「名前ちゃんだよ。そういえば、名前ちゃんも洋南だったんだって。学部は違ったみたいだけどな。」
「へぇー、会った事ねェ。」
「私は何度かお見かけしてますけど。」
「へぇー。」
なんでそんな突っかかるような言い方をするんだと荒北は気分が悪くなった。無意識とは言え荒北も名前を睨んでいたのか
「まぁまぁ、靖友そんな目すんなって。名前ちゃんは、ただ緊張してるだけなんだから。」
「隼人くん、やめて。」
新開は笑っているが、初対面の女にこんな態度を取られて流石に荒北は笑えなかった。ただの友達の飲みの席に女を連れてくるって事は、きっとどちらかがどちらかに好意があるからなんだろうと思った。そう考えるとやはり自分は邪魔なのではないかと荒北は思ってしまう。
「とりあえず靖友は、生と唐揚げでいいよな。」
とそんな事を考えている荒北をよそに、新開は店員に頼んでいる。荒北も諦めて、飲むだけ飲んで食うだけ食ったら、さっさと帰ろうと思いひたすら飲んで食べた。
「だァら、オレはオメェーみてぇな女知らねェつうのォー。」
「あらきたくん、ヒロイなぁー、わらしはぁー1回話したことあんのぉーおぼえてんのぉ。」
「ハァー?知んねー。オメェ存在感ねェんらよ!ギャハハ」
「今日ぅーちゃんと覚えといてねぇ。」
「おめさんたち、飲みすぎだな。」
新開の乾いた笑い声に二人は気がつかなかった。
2019.12.12