冬の日
寒い。今日はまた一段と冷える。彼が先に起きてエアコンつけてくれないかと思うが、ピクリとも動かない彼はまだ夢の中のようなので諦めた。
「あと少し…。」
布団から腕だけ出して、リモコンを取ろうと頑張るがあと少しが届かない。仕方がない、諦めて体半分布団から出しエアコンをつけた。
まだ暫くは寒いだろうからと布団に潜り込めば、ニヤリと笑う彼の顔があった。
「なんだ、起きてたんなら付けてくれればいいのに。」
「ヤァーダヨ。だってさみーもん。」
「ズルイなぁ。」
ははっと笑う彼を見ると、まぁいっかとも思ってしまう。
「今日は?」
「午前中、アイツらと部に顔出しに行くけど、昼過ぎには帰るから、昼飯どっか食いにいくかァ?」
「たまにはいいね。」
少し部屋が暖かくなりベッドから出ると、彼も出てきた。
「コーヒー入れるね。」
「んー、オレが入れるヨ。」
「珍しい。」
「エアコンつけてくれたお礼ィ。」
では、コーヒーは彼に頼んで、カーテンを開けた。
「今日は外に出れそうもないよ。」
「アァ?なんでェ?」
「外、真っ白。」
コーヒーカップを持った彼も窓際へときた。ベランダも雪がかなり積もっている。
「ゲェー、そりゃさみぃーよな。」
彼が携帯を確認すると、金城から別の日にしようと連絡が入っていた。
「雪だるまつくーろー。」
「ハッ!いきなりアナかよ。」
ベランダへの窓を開けると、温まった部屋が一気に冷える。
「サッミィ!」
「やばいね。」
急いでダウンを着た。せっかく温まった部屋がもったいなかったかも。
二人とも長靴など持っていないので、スニーカーでベランダに出る。
「ヤッベェ。足埋まる。ちょー冷てェェ!」
「うわ、出るのやめよっかな。」
彼が膝下あたりまで埋まっている足を見て嫌だなと思った。
「オイ!オメーも早く出ろ。」
腕を引かれ片足だけスニーカーを履いていた足が雪に埋まった。
「冷たい!ちょー冷たい!」
「ヤベェよな。」
急いでもう片方の足もスニーカーを履いた。もう出てきてしまったのだから、雪だるまでもなんでも作ってやると覚悟を決めた。
大きさの違う雪だるまを3つ作っている間、彼も何やら黙々と作っている。
「靖友、雪だるまの家族。みてみて。」
「オー。」
返事だけで、彼は自分の作品に夢中になっている。随分と大きそうだが、雪だるまではなさそうだ。
たった10分程度外に出ていただけで、体の芯から冷え切ってしまった。これはお風呂に入って温まらないとダメそうだなと思い、お風呂のお湯をために部屋へと入った。
「名前ー!」
出来たのだろうか、ベランダから呼ぶ声が聞こえた。
「出来たぞ。」
彼はとても満足そうだ。たしかに大きい物が出来てる。けれどそれがなんだかさっぱり分からない。
「すごいねー。靖友頑張ったじゃん!」
「オォ、すげーダロ。」
かまくらじゃないだろうな。穴があいてないし、かまくらにしては小さい。
ウサギだろうか。でも耳がないな。
三角形に見えるなぁ。山かな。でも山を作るだろうか。
「靖友、ごめん。これなに?」
「ハァー?おにぎりだろ!」
「え、なんでおにぎり?」
「朝メシ、おにぎりがイイ。」
なんだそれ。それを伝えるために作ったのかと思ったら、彼がとても可愛く見えた。
「靖友、かわいい。」
「アァ?」
「あとでおにぎり作るね。その前に、お風呂で温まろう!寒い!」
「そだネ。」
部屋に入ると、彼はどんどん脱ぎながら浴室へと向かっている。それを拾いながら、後を追った。
「アッチー!」
いつもと同じ温度のお湯だが、冷え切った足先には熱かったようだ。
「少しシャワーで温めてから入ればいいのに。」
「メンドクセー。」
そうでしょうね。と思いながら、足先と手をシャワーで温め、お湯へと入った。
「はぁー温まるー。」
「あー。」
「まだ8時前だね。」
「おー。今日はゆっくりすっか。」
「そうだね。まだ観てないDVDもあったし。」
「激しいアクションのやつゥ?」
「そう。」
「好きダネ。」
「うん、爆発大好き。」
「テレビだけで楽しんでネェ。」
「お風呂出たら、おにぎり作って、食べながらDVD見て、お昼寝もいいね。」
「んー、お風呂でたらァ、おにぎり食って、名前食って、DVD観て、昼寝だナァ。」
「余計な物が入ってるけど。」
「アァ?べェつに、いま名前食ってもいいケドォ?」
「靖友、お腹鳴ってるよ。」
「ッセ。やっぱおにぎり食ってからな。」
出来ればDVDも先に観たいな。
2021.01.07