秋の日


「今度落ち葉や枯れ木集めて焼き芋作るんだけど、一緒にどうかしら?」

アパートの大家さんに声をかけられた。もちろん二つ返事で参加させてもらう。残念ながら彼は予定がある為、途中参加予定だ。
いま住んでいるアパートは、老朽化も進み、来春過ぎた頃に取り壊しが決まっている。住んでいた人達は、もうみんな他の場所へと引っ越してしまい、残っているのは私達の住んでいる1部屋だけだ。
周りには、大家さんの住んでいる家があるだけで、あとは畑や田んぼというとても静かな場所である。




当日、昼頃に大家さんの家に行くと、驚くほどの量のサツマイモがアルミホイルに巻かれていた。

「こんなにあるんですか?」
「今年は、サツマイモの出来が良くていっぱいあるの。」

大根もいっぱいあるから、あとで他のお野菜と一緒に持って帰ってねと言われ喜んだ。

「靖友くんは何時頃?」
「はい。3時頃には帰ってくるかと思います。」
「そう、これから落ち葉や枯れ木を燃やして、熾火になったら焼き始めるから、ちょうどいい頃かもね。」

落ち葉に火をつけた。モクモクと煙が上がってくる。

「あと数ヶ月であのアパートも取り壊しね。」
「そうですね。皆さんもう引っ越ししているのに、私達ギリギリまで残ってしまってすみません。」
「いいのいいの。残ってくれてて、こうやっていつも付き合ってくれて、とても楽しいわ。」

そう言ってもらえると嬉しい。来春には、大学を卒業しそれぞれ就職する。東京へと戻るが、本当に運良く、彼の勤務先と一駅しか離れていない。

「お茶でも飲みながら、ゆっくり待ちましょう。」

そうして、大家さんと二人お茶を飲みながら、焼き芋が出来るまで会話を楽しんだ。

「コンチワァ。」

そろそろかなと思った頃に、ちょうど彼が友人をを連れて帰ってきた。

「あら、靖友くんおかえりなさい。金城くんと待宮くんも一緒なのね。」
「大家さん、こんにちは。」
「こんにちは。おー焼き芋出来たかのお?」
「ちょうど出来上がるよ。」

男三人が、軍手をつけアルミホイルから焼き芋をどんどん出していく。

「凄い量だなァ。」
「いっぱい食べていいって。」

全部出し終わると、いただきますと言って一斉に食べ始めた。

「アッチィ!ウメェ!」
「とても甘いな。」
「こりゃ、美味しいの!」

それは驚く勢いで、大家さんと笑ってしまう。喉に詰まらせないかと少し心配もしたが、どうやらそんな心配はいらなかったようだ。

「ごちそうさまでした。」

焼き芋を食べたあと、みんなで片付けをし解散をした。

「アー、マジ食ったァ。」
「美味しかったね。」
「ナァー美味かった。」
「靖友、珍しいね。お腹ふくれてるよ。」

普段いっぱい食べてもお腹が膨らむ姿を見たことはなかったので驚いた。

「イモだからなァ。」

そう言って、やはりお腹が苦しいのかさすっている。


部屋に入ると、自分がとても煙くさい事に気がついた。

「お風呂入るね。」
「オレもォ。」
「先入る?」
「ンー、一緒にィ。」
「えー。」
「ンダヨ。」
「いえ、お湯入れてきます。」

お風呂のお湯を入れて、リビングに戻るとお腹をさすりながら彼は飲み物を飲んでいる。

「ねぇ、私が入って15分後に入ってきて。」
「ハァ?なんでェ?」
「洗ってるとこ見られるのイヤだから。」
「オメーいつもそれ言うな。」
「うん。」

一緒にお風呂に入るのはいいのだが、ガシガシと洗っている姿を見られるのはどうしても嫌なのだ。

「だから、オレが洗ってやるって。」
「それもイヤ。」
「なんでェ。」
「途中から洗わなくなるから。」
「洗ってるダロォ?」

ニヤリと笑う彼にため息をつく。

「あれは洗ってるとは言いません。」
「じゃーナニ?」
「もーうるさい。とにかく15分後ね!」
「ヘイヘイ。」

浴室に入り、とにかく急ぐ。絶対に15分なんて待ってくれないので、少しでも急いで洗い始める。

「名前ー。入るからナァー。」

ほらまだ10分も経ってない。まあ、入る前に声かけてくれただけでも良しとしよう。




2020.10.09


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