小話



※神様の言うとおりの二人の日常の話※
めっちゃ短い ほのぼの







夫婦茶碗の話




ある日の夕食時。

いつものように対面に座り夕食を食べていると、実弥は手に取った茶碗が気になりまじまじと見つめた。

目の高さまであげれば、茶碗はくすみがかった白に淡く緑がほどこされた茶碗だった。

「・・この茶碗、みたことねぇやつだな。買ったのかァ?」

「よくお気づきになられましたね。今日、町に出たときに偶然見つけまして。気に入って買ってしまいました」

実弥はあまりそういったものに興味がないと思っていた名前はおろしたての茶碗に気づかれたことに内心驚きつつ、ほら、と自身の茶碗も差し出した。

「この緑の部分が日に反射するととても綺麗なんです!で、この内側の底に描かれた絵柄も素敵で」

いつになく熱の入った説明をする名前を眺めつつ、ふーんとその手に持った茶碗をみる。

名前が手に持っていたのは、実弥が持っている茶碗のひとまわり小さいものだった。

「自分の分だけ買おうかと思ったのですが、少し大きめのもあったので実弥様にもと思いまして」

「へェ、夫婦茶碗ってことかァ」

そう言えば嬉々とした表情の名前の動きが止まった。

驚いたように目を開いて、これでもかと顔を真っ赤に染める。

「め、おと・・」

本人には全くその意識がなかったようで赤くなった顔を震わせながら俯いた。

「そうだろ。俺のために買ってきてくれたんだろォ」

追い打ちをかけるように実弥が意地悪く言えば、名前はそっと箸を置いた。

「出しゃばった真似をして申し訳ありません。今すぐ私の物を割りますね」

「待て待て待てェ」



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おはぎの話




「実弥様、お茶菓子におはぎ置いておきますね」

そう言って、縁側に座る実弥におはぎとお茶を差し出した。

菓子楊枝を手に取り一口の大きさに切って口に運ぶ。

いつもと変わらない甘みが広がって、実弥は満足げに再度楊枝をおはぎに伸ばした。

ふと名前を見れば、微笑むだけで手元にはなにもない。

「お前は食べないのかァ?」

「あ、私は大丈夫、です」

あいまいな笑顔を見せた名前を少し疑問に思いつつ、実弥はおはぎを食べすすめる。

最後の一口になったところで、用事に刺したおはぎを名前に差し出した。

「やる」

「・・・・」

微妙にひきつった顔を見て、実弥は笑った。

「わかりやすいなァ、苦手なんだろ」

実弥に言い当てられてしまい、名前は押し黙る。

そのまま、実弥は残りのおはぎを口に運んだ。

「・・申し訳ありません。実弥様に気を使っていただくなど・・。生まれ変わって出直してまいりますね」

すっと小刀を取り出し、首に当てようとする名前。

「とりあえず落ち着けェ」



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