彩香の心臓が凍りついた。
視線の先は、床に横たわったまま、全く動く気配の無い真島の身体。
すかさずマリアが彼の元へ駆け寄る。
「吾朗ちゃんっ!!吾朗ちゃんっ!!」
涙をポロポロ零しながら声を掛けるが、やはり真島はピクリとも動かない。
ゆっくりと彼の近くに歩み寄る。
心臓の音が煩い。
真島のジャケットの胸に穴が空いているのを確認し息を飲んだ時、背後から声がした。
「詰めの甘い奴だ…、しっかりとどめ刺さないからこうなるんだよ…」
振り返ると、目の前に肩で笑う武野が立っていた。
「ぁうっ……!!」
髪の毛を鷲掴みにされ、グイと引き寄せられる。
「痛っ……!離してっ!!」
その手を両手で掴み抗うが、更に力を込められ、喉元に冷たいモノが当たる。
「……っ!!」
「おっと、あまり暴れるとここから脳天ぶち抜くよ」
その銃口の冷たさを喉元に感じながら、彩香は武野を睨みつけた。
「いいねぇ、その反抗的な目。俺、苛めたくなっちゃうなあ」
「彩香さんっ!!やめてっ!!」
マリアが武野にすがりつくと、武野は一旦彩香から手を離すと、マリアのみぞおちに拳を打ち込んだ。
「……ゥッ…」
そのまま彼女は意識を失い、床に崩れるように倒れこんだ。
「マリアさんっ!!」
「お前は後でたっぷり可愛がってやるよ子猫ちゃん。あの時みたいにね……さて」
マリアを見下ろしていた目がこちらを見る。
頬を腫らし、血に染まった武野の顔は、目だけが異様にギラついており、彩香は足がすくんだ。
今度は彩香の胸倉を掴み、乱暴に床に組み敷くとそこに馬乗りになる。
「真島が死んで悲しいかい?大丈夫。すぐに同じ所に送ってやるよ」
彩香の額にピタリと銃口が当てられる。
「安心して真島のところへ逝きな……」
銃の向こうには、歪んだ笑みを浮かべる武野の顔。
―――殺される。
こんな事になるんだったら、自分の想いを真島に伝えておけばよかった……。
そんな事を思いながら、恐怖に耐えつつ引き金が引かれるのを待つ。
―――真島さん……。
諦めたように目を閉じると、そこから涙がすぅっと零れた。
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