真島組の組長室で真島は一人DVDを観ていた。
自分が好きなゾンビ映画の続編が出ているのを街角で見かけ、購入してきた物だ。
「おお、やっぱりこのシリーズはおもろいのぅ」
無邪気な子供のように、食い入るように画面に見入っている。
コンコン、とノックの音がする。
「親父」
「……何や、暫く声掛けんな言ぅたやろがっっ」
邪魔が入った事に、かなり機嫌が悪そうだ。
こういう時は、この人はあまり刺激してはいけない。
「へ、へい、ですが親父…お客が来てます」
恐縮しながら言う若衆に
「客やと?今いいとこなんや。んなもん待たせとったらえぇやろ」
「で、ですが……親父…」
「あぁん?」
真島が睨みをきかせ凄むと、「わかりやした!!」と言って、ドアの向こうに引っ込んでいった。
「ったく、とんだ邪魔が入ったわ」
真島はそう言って、リモコンの『早戻し』ボタンを押した。
「まさか、あないな展開になるとは思わんかったわ…」
DVDを観終わり、余韻に浸っていた真島だったが
「せや、客待たせとったんやった」
と、応接間に向かった。
「何や、誰もおらんやん。おいっ!!客来とったちゃうんかっっ」
近くの若衆に声を掛ける。
「へい、暫く待っておられたんですが、用があるとかで帰られました」
「何や、そんならえぇわ」
誰だったのかと訊こうとすると、ワインレッドの包装紙に黒のリボンが施された包みを差し出された。
「…何やこれは」
「先程のお客が、これを親父にと。直接渡したかったらしいんですが、折角持ってきたし、早く渡したいからと置いていかれました」
添えられていたメッセージカードを見る。
『――真島さんへ――
真島さんに凄く似合うと思いますよ。
気に入って頂けると嬉しいです。
これからも、お店共々宜しくお願いします。
お誕生日おめでとう。
苗字彩香』
「これは…。あ、アホっっ!!何でオーナーはんだって教えんかったんやっっ!!!」
「でも、親父が待たせとけって…」
真島に胸倉を掴まれ、苦しそうに言う若衆に
「この人は別やっっ!!」
そう言うと、プレゼント片手に真島は事務所を飛び出して行った。
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