翌日、月に二回のリンクスの定休日。

品田の携帯に着信が入った。

「もしもし、……マリンちゃん?この前はごめんね。え?今日?いや……特に予定は……え?あ、いや、ちょっと待って……」

「……どうかしたの?」

困った顔で通話の切れた携帯を見つめる品田に、テーブルにホットココアを二人分置きながらなつみは尋ねる。

「あー……マリンちゃんがさ、この前のデートの続きをしようって言って、答える間も無く切られちゃった……」

「あ……そうなんだ……」

「まいったなぁ……」


品田はガシガシと頭を掻いた。

埋め合わせをすると言ったのは自分だ。でもなつみを一人置いて出かける訳にもいかない。どうしようかと思案していると、それまで黙ってココアを飲んでいたなつみが口を開いた。

「行って来なよ」

「え?」

「今日一日くらい大丈夫だからさ。楽しんで来てよ」

「いや、でも……」

いつまたあの男が訪れるか分からない。今日は春樹も学校で、自分が出かけたらなつみはリンクスに一人になってしまう。

少し考えた後、品田は顔を上げた。

「あ、そうだ」

「……?」









ボールがバットに当たり小気味の良い音と共に飛んでいく。

「あ、またホームラン」

「品田さん、野球上手いのね」

神室町にあるバッティングセンター。なつみはベンチに腰を下ろしマリンと一緒に品田のバッティングを見ていた。

「今日はすいませんでした。デートの邪魔しちゃって……」

「気にしないで。元はと言えば、私のせいなんだし……。あいつに襲われたって……大丈夫だったの?」

缶珈琲を飲みながら、マリンは首を傾げるようになつみを見た。綺麗な栗色のストレートヘアがサラリと肩から落ちる。

「ええ、でも品田さんが来てくれなかったらどうなっていたか……」

「ほんとごめんなさい」

「いえ、マリンさんは悪くないですよ。謝らないで下さい」

品田のバットに球が当たり、勢いよく飛んでいく。

「うわ、またホームラン」

「あそこ、かなり早い球が出るところよね?学生の時野球部だったりしたのかな」

「……なんか、ギャラリー増えてますね」

いつの間にか、品田のバッティングを見ようと結構な人が集まっていた。

「いいよねぇ、彼」

「え?」

驚いてマリンを見ると、彼女の目は品田を見つめていた。

「私、結構タイプかも」

「えぇっ!?」

唐突なマリンの告白に、なつみは言葉を失ってしまう。

「なんて言うの?母性本能をくすぐる……っていうの?弱いのよねえ、私」

なつみが品田を見ると、暑くなったのか上着を脱いでいるところだった。

「それに、あの身体」

白いタンクトップ姿になった品田の背中を、彼女は、うっとりとした眼差しで見つめ続けている。

「性格と身体のギャップがたまらないわぁ……。最近の男って細いナヨナヨしたのが多いでしょ?やっぱり、男は筋肉よ筋肉」

「はぁ……」

「あの逞しい腕に抱き締められたらと思うと、たまらないわぁ」

「…………」

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