なつみの脳内に、昨日の品田との事が一気に甦る。あの時の彼の体温と微かな煙草の匂いが鮮明に思い出された。

「彼……どんな風に女性を抱くのかなあ」

「え?」

「品田さん、優しいからエッチも優しくリードしてくれそうよね。それとも……」

じっと聞いていたなつみは、ゴクリと唾を飲みこんだ。風俗嬢というのは、こういう話しもオープンに出来るものなのだろうか。

「案外、獣みたいに激しかったりして」

そんな妄想を楽しそうに語りながら、マリンはフフフと笑う。

「ねえ、なつみちゃんはどっちだと思う?」

「ぅえっ!?」

マリンの妄想を聞いて、嫌でも想像してしまっていたなつみは、顔を真っ赤にしながら変な声を出してしまった。

「わ、私そういうのはちょっと……」

「一度誘ってみちゃおうかな」

「えっ?女性から誘うんですか?」

内心気が気じゃない思いでマリンに尋ねる。

「嫌だ、目当ての男がいたら待ってるだけじゃ駄目でしょ。自分からガンガン攻めないと」

どうやら彼女は肉食系のようだ。

「そういうもんなんですか……。私、まだ経験無いんで勉強になります」

そう言うと、マリンの目が大きく見開かれた。

「なつみちゃん……もしかして、処女?」

「わっ、あまり大きな声で言わないで下さい」

「ご、ごめんなさい。なんか意外で……なつみちゃん可愛いからてっきり経験済みかと思ってた」

成程ねえ、とマリンはなつみをまじまじと見つめる。

「いい?なつみちゃん」

「は、はい」

「初めては、本当に好きな人とする事。適当な男でポイしちゃ駄目よ?」

なんでこんな場所でこんな会話をしているんだろうかと思いながら、なつみはコクコクと頷いた。



「いやー。最近身体動かしてなかったからスッキリしたよ」

丁度そこへゲームを終了した品田が身体を左右に捻りながら帰って来た。

「ん?どうしたのなつみちゃん、顔赤いけど?」

「な、何でもない」

「品田さん、凄いじゃない。まるでプロの野球選手みたいだった」

マリンは立ち上がると品田に近づき、筋肉質の腕に自分の腕を絡ませた。

「え?いやあ、そ、そんな事無いよ」

マリンの胸が品田の腕に押し付けられているのを見たなつみは、サッと立ち上がる。

「お、お腹空いちゃったね。何か食べに行こうよ」

言いながら出口へと向かう。

彼女なら、本当に品田を誘うかも知れない。内心頭を抱えながら、なつみは胸の奥がモヤモヤするのを感じていた。

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