「君はやさしいひとだね」





あのひとの言葉が、あの日の一言が、ただそれだけのことが、どれだけ大きな力になっているか。

シャーロットは辺りを駆け回る子供たちを穏やかな緑玉の瞳で見つめながら、さて今日はどんな夕食にしようかしらと、代わり映えのしない日常に思いを馳せた。

「なんでボクらまで走らなきゃなんないのさぁ」
「言ってもしょうがないよケヴィン。フレドはフレドの好きなようにしかしないし」
「はやくはやくっ、ケヴィンー!ヴィスー!」

赤い頭が跳び回り、プラチナブロンドの少年たちが仕方なくそれを追いかける。
毎日続く光景。


いつまでもと願う光景。


子供たちに囲まれ、気持ちを注ぎ、返してもらう。きゃらきゃらと笑い声が響いて、青い空の下で伸びやかな時間を過ごす。

数年前まで知らなかった世界だ。

縮こまって、息苦しくて……。そんなことが人生にまるで存在しなかったかのような気持ちにさせてくれる。

ここが自分の居場所。

シャーロットはそばで見上げてくる小さな少女を抱き上げて微笑んだ。





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