01

満月の夜、忍者が活動するには相応しくない状況にも関わらず、ある領地の森では2人の忍者が交戦している


飛んでくる手裏剣に同じく手裏剣を使って打ち落とす

この手裏剣の回転と軌道のクセ
きっと相手も同じことを思っていると思う。


”またアイツだ”と。



頭上から迫る気配にクナイを構えた瞬間には金属同士がぶつかる音


「やっぱり君か」


「それ、私のセリフ。」

そう言ってお互い少し距離を取って対峙する。

深緑色の忍装束を着た焦茶色の髪、色素が少し薄い瞳。
こうしてクナイや忍刀、時には拳を交えた回数は両手では足りなくなってしまった。

「…私を雇った城の戦相手は必ずと言っていい程君を雇うね。偶然にしては、少し出来すぎだ…!」
そう言って再びクナイを構えて向かってくる相手にタイミングを合わせてクナイで脇腹を狙ってクナイを振るえば、お見通しとでも言うように相手がは体を捻って攻撃を受け止めそのまま足払いをする。
当然雪も動きを読んでいる為頭上の木の枝に手を掛けてくるりと円運動を使い枝の上に立てば背後からの手刀に肘当てして相手の動きを利用してそのまま懐にはいればすかさずクナイを手にして相手の首に宛てがう。青年も手首を捻れば仕込み刀が飛び出して雪のうなじに寸前のところで止める


「…流石。顔だけじゃなくて腕もいいのは流石フリーの売れっ子忍者ね。山田利吉」

「君こそ、プロのくノ一のなかじゃ指折という噂だよ、花野井雪」
「馬鹿言わないで。私はくノ一じゃないわ。ちょっと動きの良い斥候よ」

至近距離で会話をすればお互いの息遣いまでも聞こえてしまう距離で視線を合わせても全く微動だにしない。
それ程までに冷静沈着、この状況までも読んでいたかのように2人は会話を続ける。


「君と戦場の顔馴染みだ。顔馴染みついでに、幾つか聞きたいことがあるんだが」
今まで緊張していた雰囲気が少し和らいでいるが、私がクナイをに握っている方の腕を掴む利吉の力は変わらない

「あなた次第ね。…相応の対価を貰わないと」
グッと雪が下半身に力を入れ、いつでも動けるように緊張は解かずに話を続ける。

「そこはツケで頼むよ」
「あなた忍者なんだから少しは忍者らしく…」

雪が言いかけた時、5つの気配を捉えた。
利吉も同じだったようで、なんだ?と視線を下に移す


「…4つの足音は忍者か…残りの1人は山賊にしては芸が無い、獣という訳でもなさそうだが、」
雪が利吉の首元からクナイを外し、気配の方向をけば慌ただしい足音が聞こえる

「…君の仲間か?」
「私は基本単独行動だ。仲間なんていないし作る気もない」
利吉も雪のうなじから刀を離し気配の方向を向く
「…念の為行ってみよう」
「一緒にか?仮にも敵同士…」
「そこは利害が一致するって事でいいだろう。君だって気になるだろう?」
そう言って利吉は、雪の顔を自信ありげに見れば枝から飛び降りて走り始める。雪はハアと小さく溜息をついて解った。と言って利吉の後を追うように駆けた。