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「はぁ…いくじなしか」
太一は部屋で仰向けになりながら呟いた。
「俺もそれぐらいわかってるよ」
本当に俺って勇気の紋章の持ち主なのかな…
太一はまた大きなため息をついた
「あー…なんか気が重いな…。こんなことになるならいっそ…」
プレゼントしようなんて考えるんじゃなかった
二週間前、とある雑貨屋の前を通りかかった事のことを思い出す太一。
サッカーの試合の帰り道、何気なくその雑貨屋のディスプレイを見た。
そこには可愛らしい花の髪留め。
シグに似合うとか…喜ぶ顔が見たいとか…思うんじゃなかった
渡す勇気もねェのに…
「あーいやだ、自分がいやだ」
それに
『そんなんだからシグは太一の気持ちに振り向いてくれないのよ』
空の言葉が心に突き刺さる。
俺にはわかんねェよ
「あーあ…苦しいよな…」
太一はごろごろと床を転がる。
プレゼントを渡す勇気がないことが悔しい
『振り向いてくれない』って言われたことが悔しい
シグを想う自分の気持ちがすごく痛い
「やっぱり俺はシグが好きだ」
「どうしたの??お兄ちゃん」
「うわァァァアっ!!!」
気づけば隣にはヒカリがいた。
「えぇぇぇええ、おおおおおおおおおおおおお前、いいいつから!!!?」
もしかして今の俺の言葉を聞いてたんじゃねェだろうな!!!
冷や汗が太一の体を一瞬で覆う。顔から耳まで絵の具を塗ったかのように真っ赤だった。
「今だよ??どうしたの??」
「おお俺の…あの、俺の今の独り言…き、聞いた??」
「独り言???」
「私お兄ちゃんの独り言なんて聞いてなかったよ」
「そっか…」
よかった、聞いてなかったのか
太一はホッと肩をおろす。
「でもね、お兄ちゃんのシグちゃんへの愛の叫びはしっかりと聞いたよ」
最悪だ
「それがシグちゃんに直接言う事ができたらいいのにねっ」
真っ直ぐで最もなヒカリの言葉。
ほんと最悪だ…
「うるせェ!!忘れろ!!!」
真っ赤な顔のままの太一がヒカリにしっしとする。
そんな太一にムッとなったヒカリは、「応援してあげてるのに」と小さく呟きながら部屋をあとにしようとした。
「あれ??」
そんなヒカリを太一が呼び止めた。
「お前、どっかいくの??」
ヒカリの服装はどうみてもフォーマル。可愛らしいピンクのワンピース姿だった。
そんな不思議そうな太一にヒカリはニコッと笑いながら
「お友達のお誕生会。そしてこれはプレゼント」
と言い、持っていたプレゼントの箱を見せた。
『プレゼント』って言葉も今は聞きたくないのに…
太一はまた心が痛くなったが
「ふーん…くれっ!!」
それを悟られないようにふざけて見せた。
「ダメ」
兄に取られまいとプレゼントを後ろに隠すヒカリ。
「お兄ちゃんもシグちゃんにプレゼント渡して気持でも伝えたら??」
「……………」
まさか妹にまでこんなことを言われるとは
太一はまたどん底に突き落とされた気がした。
落ち込む太一を放っておいてヒカリは部屋をでる。
「そういえば春休み、まだ一回もシグちゃんとは遊んでないよね??どうして??」
「うるせェ!!遊びたくないんだよ!!!」
「うそつき」
ヒカリはそう言うと行ってしまった。
そうだ
結局俺はプレゼントを渡す勇気がなくて、シグに会う勇気がでなくて、春休みに入ってから一度も会ってない
会いたいな…
正直な気持ちはそうなんだ
そうなのに…
やっぱいらないことしなきゃよかったかな
太一は天井を見ながらため息をついた。
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