「雨…」
「雨だな」
まさかちょっとお店に寄っただけでこんなすぐに土砂降りになるとは…。
外は曇りであったが雨は降る感じではなかったためリンカは傘を持っていなかった。無論隣にいるラクサスも
冷蔵庫に入れなければいけない食材があるというのに、もうこのまま行ってしまおうか。すぐに止むことはないであろう天気に困り果てていればラクサスに肩を掴まれ引き寄せられた。そして彼の彼肩にかかっていたコートを彼女にも分け与えるように半分リンカの頭の上にかける。一瞬にしてラクサスの匂いに包まれてしまう。顔が熱い、心臓がうるさい。
自分の手よりも大きい彼の手と服越しに感じる少し低い体温に昔は感じなかった緊張感と恥ずかしさに死んでしまいそうだった。
「ラ、ラクサス?」
「何も無いよりはマシだろ」
「えっ、え、」
「女がそう簡単に雨で濡れようとしてんじゃねえよ」
このまま行こうとか考えてただろ。まさかの図星で言葉が詰まる。そんな彼女に半ば呆れながら2人は雨の中へと入っていった。
彼のコートのお陰でリンカが濡れる事はほぼ無いが、未だに彼女の肩をだくラクサスは頭からずぶ濡れになっている。その状態にとても申し訳なくなってしまう。落ち着きがない様子で目線をきょろきょろとさ迷わせている彼女にラクサスは小さく口角を上げた。
男として、異性としてどんどん意識しているであろう恋人に嬉しさを感じる。このままもっともっと自分のことを意識すればいい、考えられなくなればいい。
申し訳なさと恥ずかしさでいっぱいになってる彼女に顔を近づけ囁いた。
「愛してる女を雨に奪われたくねえんだよ」
低く甘く囁かれた言葉にリンカはもう瀕死だ。ラクサスが気づいていないだけで彼女はもうすぐそこまで堕ちてきているのだろう。