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東京の空は狭くて明るくて、何も見えやしない。

そう聞いていたけれど、ここはそうでもなさそうだなと寝転びながら思った。引っ越しを終えたばかりの新しい我が家を飛び出してたどり着いた草はら。家から自転車でたった2、3分ほどの場所だ。

まだ日が落ちる前。周りに街頭はほとんどなく、大きな街からも少し離れている。

来る途中の野球グラウンドにナイター用のライトがあったからもし夜まで練習するようだったらそれだけが心配だけど、流石に極大の時間まで練習していることはないだろう。

広げたレジャーシートの上で仰向けになった私は、何度も深呼吸を繰り返す。

逃げてきて、ここにいる。

それでもできることなんてあの場所でもこの場所でもきっと大して変わらない。私は今日も、見上げるだけだ。

「よし、準備準備」

背負ったリュックの中からカメラと三脚を取り出して設置する。レンズが向くのは北東の空。上空遮るものはなく、このまま雲さえでなければある程度の観測はできると思う。

今日はペルセウス座流星群の極大日。

月明かりも少なく、絶好の観測日になる。とはいっても、東京での観測は初めてだからどうなるかわからないけど。

スマホを覗き込めば、お母さんから心配するメッセージが届いていた。

「(位置情報共有、ONにしたよ。ここからは画面見ないから、何かあったら電話して。)」

時間は18時30分。もう日の入りだ。徐々に光が追いやられて、深い紫色の宇宙が広がっていく。

新しい土地への不安も、これまでと同じ宇宙の中にあるのだと、昨日と同じ星空の下にあるのだと思えば飲み込める気がした。