#18
シャワーを軽く浴びて体を拭いていると鏡に映る自分と目が合った。
クリスマスからまだ一週間、何度もナマエを求める自分の欲の強さと自制の効かなさに反省する……が後悔はあまりない。
その証拠に、鏡に映る俺の顔は自分でも分かる程に楽しげだ。きっとこの一週間はずっとこんな顔をしていたのだろう。
年が変わる瞬間を家族以外と過ごすのは一体いつぶりだろうか。そんないつもと違う日常に、まるで子どものように心が躍ってしまう。
さて、今日――明日の初詣は学園の近くにでもするかと考えながら洗面所を出ると慌てるナマエの声が寝室から漏れ聞こえてきた。
「どうしたんだ?」
急な仕事でも入ったのかと思い聞くと、しどろもどろで違うと言われる。それならばなにか友人だろうかとも考えたが、俺になにかを話したそうにしている姿にその可能性も消えた。
「どうした?」
「……親が今、うちに向かっているみたいです」
もう一度聞いてみると意を決した様子で俺に伝えてきた言葉に次の行動が即決まった。
「今どこらへんまで来ているんだ?」
「え? ……あ、最後の乗り換え終わったって言っていたから最寄駅にはあと10分くらい、かと……」
「よし、行こう!」
「そうですね……って、えっ!?」
「最後の乗り換えをしたなら今から向かえばちょうど駅に着く頃だろう」
「え、あの? 杏寿郎さんも?」
「む?」
「来てくれるんですか?」
「当たり前だろう? 挨拶できる機会を向こうから作ってくれたんだ。それを俺は逃したくない」
待たせるのも悪いからと急いで上着を羽織っているとゆるく後ろの裾を掴まれる。その行動に後ろを振り返ればナマエが相変わらずなにかを言いたげな顔をしていた。
きっとまたなにか要らぬ心配をしているのだろう。
ここはいつものように誘導するように押すのではなく、引いてみるとするか。
体を反転させてナマエに向き合う。
「ナマエがまだ早いと思うなら俺は今日は帰る」
「だ、駄目です!」
思いのほか大きな声で、しかも被せ気味に言ってくる姿が新鮮で思わず小さく声が漏れてしまった。しかしそんな俺に気付かないナマエは気合いを入れたのか口を一度引き結んで眉尻を上げた。
「杏寿郎さん!」
「ん?」
「突然で申し訳ないのですがうちの親に会ってくれますか!?」
「ああ」
「紹介したいんです。杏寿郎さんにうちの母親を……」
「ああ」
単調な俺の返事。それでも必死に伝えようとしてくるナマエが愛しくなる。
なるほど、これがナマエが言っていた“大好きが止まらないタイムセール”というやつかと思っていると最後に伺うように上目遣いをしてきた。
「それで、母親に杏寿郎さんを彼氏だって……結婚も考えているって……。だから……一緒に会いに行ってくれますか?」
「もちろんだ!」
そもそも帰るなど選択肢になかった俺がナマエの言葉に被せるように返事をする。その瞬間、なにかがほどけたようにナマエの表情が和らいだのが分かった。
何度か瞬きをしたあとほっとしたように、でも恥ずかしさをごまかすように顔を隠して俺に抱きついてくる。
「ごめんなさいー。ありがとうございますー」
「なんの謝罪と礼だ?」
「杏寿郎さんに背中押してもらわないとなにも決められませんでした」
「俺は帰ると言っただけだぞ?」
「それですよー。いつもと違うからちゃんと言わなくちゃってなりました」
引いてみる作戦かどうかも怪しい言葉の投げかけはどうやら成功したみたいだ。
ナマエの背中に手を回すと彼女の鼓動を感じ取る。俺に顔を見せないのはきっと不安の余韻だろう。
それでも、俺に“彼氏です”と、“結婚も考えています”と、伝える意思を示してくれた。
心のどこかで――いや、ずっと欲しかった言葉だと言われてようやく気付いたのは誰よりも大切に想っている相手から、自分の存在を“未来の一部”として認められる喜び。
「……ナマエ」
そっと名前を呼ぶと潤んだ目が俺を見つめる。
「心配するな! 半分は俺が言わせたかっただけだ!」
冗談めかして言いながら嬉しさと、どこかくすぐったいような気持ちが混ざり合って自然と笑みが浮かぶ。
「さあ、もう時間もない。支度はいいか?」
「はい!」
互いに手を取り重ねた温もりを頼りに、俺たちは玄関へ向かう。
靴を履いてドアを開けると、年の瀬の空気が肌を刺すように冷たかったが、不思議と寒くはなかった。
駅に向かう道すがら、ナマエは母親とスマホでやり取りをしているようで、もう駅前で待っていると知る。
こんな寒い中で待たせるのも悪いと、繋いだ手を引っ張り足早になる俺に対してナマエの足取りが変わらない。
「杏寿郎さん。そんなに急がなくても大丈夫ですよ」
メッセージの送信を終えたナマエがスマホをしまいながら言った言葉はどこか覇気がない。だがその言葉に俺の足はまた速度を上げた。
ナマエの母親を待たせたくないという気持ちと、こんなところでナマエとの雰囲気を悪くしたくない気持ちがせめぎ合うが、俺にも譲れない礼儀がある。
「……ナマエ」
「っ、……はい」
自分でも気付いているだろうことを言われるのを予想してか、ナマエの繋ぐ手が弱まった。俺はその手が離れないように握り直し、少しだけ速度を落としながら首だけナマエに向ける。
「もし俺の母上が寒空の下で待っていて、俺がナマエと同じことを言っても受け入れるか?」
「……」
ナマエは言葉を詰まらせ、そのまま俺の視線から逃げるように俯くがここで甘やかすわけにはいかない。
「自分の身内に甘くなるのは仕方がない。俺のことも紹介しなければならない。気が進まないのも分かるが、俺はそれを理由に待たせることが許されるとは思いたくない」
「……ごめんなさい」
「……」
手は繋いだまま、一定の速度で進んではいるが会話は進まない。
「……すまない。少し強く言い過ぎた」
「いいんです。杏寿郎さんの言うことは正しいので。さっきもそうでしたけど、完全に私の甘えです」
「……」
「……」
また会話が途切れて足音だけが聞こえる中、不意に俺の速度についてこれるようナマエが歩調を合わせてきた。
「急ぎましょう! こんな私をきちんと叱ってくれる早く杏寿郎さんを紹介したいです!」
俺より少しだけ前に出たナマエは怒るどころか俺に向きながらやんわりと笑ってくる。夜道でも分かる少し照れたように笑う顔。
「ちゃんと言ってくれてありがとうございます!」
「緊張して、焦って俺の気持ちを押し付けてしまった」
「全然問題ないです! 杏寿郎さんはいつも私を甘やかしてくれるから……。私が調子に乗らないようにそれぐらいの方がいいかもしれませんね」
俺の苦言に不貞腐れも反抗もせずにしっかりと受け入れるその姿勢に、握った手に力を込めた。
駅に着く直前で「親に見られるのは恥ずかしいから」と言われ離れる手。
小さなロータリーの片隅、改札前の柱にもたれて立つ一人の女性がこちらに気づいて軽く手を振ってくる。
「お母さんだ」
ナマエが小さく手を振り返して駆け寄り、俺も後を追うように歩を進めた。
「思ったより早く来たのね」
「待たせてごめんね」
「お待たせして申し訳ありません」
ナマエの隣に立つと、女性がこちらに深く会釈をする。
ナマエの面影を残した穏やかな表情。凛とした立ち姿には芯の強さがにじんでいて、母親というものはそういうものなのかとふと母上をことを思い出した。
ナマエから「母です」と紹介された瞬間、深く一礼する。
「はじめまして、煉󠄁獄杏寿郎と申します! ナマエさんとお付き合いをさせていただいております」
自分でも驚くほど想定以上に声が大きく、緊張しているのを改めて自覚する。
ナマエの母親は少し驚いたように目を丸くし、その後すぐに柔らかな笑みを浮かべた。
「こちらこそはじめまして。突然来たのにわざわざありがとうございます。……背筋がいい方なのね」
「ありがとうございます!」
「お母さん、来るならもうちょっと早く連絡ちょうだいよ」
「お母さんの友だちがこっちに……っていってももうちょっと遠くだけどね。年越しでお邪魔することになったの。ここは行きの途中だなってさっき分かったから寄ってみた」
「突然すぎるよー」
「あんたなら長い休みの中日は家でダラダラしてそうだと思ったの」
「まー……、間違ってはないけど……」
「ところで夕食は?」
「まだこれから。買い物に行く準備してた」
「お母さんもまだなの。どっか入って食べよ。あんまり長くいれるわけじゃないから近くがいい」
「えー、じゃああそこかな」
親子特有の砕けた会話に、話をするならどこか暖かい場所に――。そう提案しようとしたところで、近くのファミレスの名前が挙がりあっという間に行き先が決まる。
駅から少し歩いた場所にあるファミレスは大晦日ということもあり、いつもより空いていた。
賑やかしくない店内はゆっくりできそうだと心の中で安堵しながら店員の案内で席に向かう。ナマエの母親が先に席に座ったあと、続いて座るはずのナマエの挙動がおかしい。視線を左右に揺らしていた。
母親と俺、どちらの隣に座るかで迷っているのかすぐに分かった俺はナマエに着席を促す。
「自分のお母さんの隣に座るといい」
「あ、はい……」
「……あんたはまったく。杏寿郎さんが頼もしそうで安心するわ」
「杏寿郎さんは先生なのでいつだって頼もしいよ」
「教師! あんたどこで知り合ったの!?」
はて、ナマエは何も伝えていないのだろうか。母親の驚きように俺も内心驚くが、確かクリスマス翌日に母親に連絡していたから俺のことを知らなくて当たり前か。
「改めて挨拶させてください。煉󠄁獄杏寿郎と申します。ナマエさんとお付き合いをさせていただいて、結婚も考えています」
「お母さん、私も――っ!?」
座ったまま深くお辞儀をするとナマエも俺に続けようとして、そこで言葉が止まった。
「……ご注文が決まりましたらお呼びください」
店員が間の悪そうな表情で水を三つ置いて足早に去っていく。
微妙な沈黙に、完全にタイミングを間違えたのが自分でも分かった。駅前でのやり取りといい、緊張が裏目に出ているが穴があったら入りたいとも思わない。ここで俺が怯むわけにいかない。
「とりあえずお腹いっぱいにしましょう。話す時間は今だけじゃないんだし」
「……そうだね」
「……そうしましょう!」
ナマエの母親の提案に乗ることにして、三人それぞれ好きなものを注文する。さっきとは違う店員に気まずさを感じずに済んだと思っていたら声をかけられた。
「杏寿郎さんはなんの先生なのかしら?」
ナマエの母親から話を切り出してくれて肩の力が少し抜ける。その言葉をきっかけに会話が広がり始め、そのまま料理を食べながら世間話を交えつつ出会いだったり俺の職業や家族構成などを説明していった。
砕けた感じで喋るナマエは新鮮だと、二人の会話に時々相槌を打つ。
料理も食べ終わり、皿が片付けられてテーブルの上には水ではなく食後のコーヒーが三つ置かれていた。
「書道? 料理? あんたが?」
「ふふーん。ちゃんと書き終わったあとに押す落款印もあるんだよ」
「墨とかこぼしてない? 迷惑かけてない?」
「大丈夫だよ。瑠火さん――杏寿郎さんのお母さんも杏寿郎さん以上にしっかりしてるから」
「うちの娘のことで今度ちゃんと挨拶しないと……。なんでそんな大事なこと早く言わないの?」
「いや、もう大人だし……」
「大人とか関係ないでしょう。あんたの将来の家族になるかもしれない人に挨拶するのは親として当たり前でしょ」
その言葉にナマエがピクリと反応する。そして俺に一度視線を送ると、最初の仕切り直しとばかりにナマエが母親に体ごと向いた。
「あのね、お母さん」
「なーに?」
いつもならば俺が隣にいて、勇気を与えるように手を握ってやれるが今はそれができない。
「私ね、杏寿郎さんと……結婚を考えています」
「うん」
「杏寿郎さんとなら未来を一緒に考えられるって思ったの」
「……反対したらどうするの?」
「……そうしたら、納得してくれるまで説得します」
不穏な空気に口が渇く。ここで俺が口を挟むことはできるはずもなく、ただ成り行きを見届けるしかない。
「一人暮らしのときもお母さんが反対する暇もなく出ていったのに……ちゃんと説得できるの?」
「あのときはごめんなさい。今度こそちゃんとします。逃げたり押し通したりせず、お母さんに知ってほしいし、認めてほしいんです。私たちの結婚を。杏寿郎さんを」
「言葉遣いまでしっかりしちゃって……」
ナマエとナマエの母親の真剣な眼差しがぶつかり合う。ほんの僅かな沈黙が流れたあと、ナマエの母親は息を一つついた。
「……そう、あんたが望む結婚ならいいと思う」
「……え?」
「心配だけどね、良いも悪いも最後はお母さんが決めることじゃないし。それにこの人逃したらあんたに婚期は訪れない」
「……ありがとう」
「あんたにも……、杏寿郎さんにも会えたし今日は来れて良かったわ。本当はもうちょっと色々話したいんだけどね。電車に乗らないといけない時間があるのよ」
「そっか。友だちの家もう少し遠いって言ってたもんね」
しんみりとした雰囲気から一転、時間を確認しだす様子にナマエも俺も出る支度を始める。
「あ、先にちょっとお手洗い失礼します」
ナマエが急いで席から立ち上がり、この場には俺とナマエの母親の二人だけ。三人でしか会話をしていないから、改めて頭を下げた。
「本来ならこちらから挨拶に伺うべきところを、今日は本当にありがとうございます」
「いいのよ。あの子、わがまま言って困らせたりしていないかしら?」
「ナマエさんはむしろ我慢強く弱音をなかなか吐きません。ただ、それでも最近はようやく自分のやりたいことをちゃんと言うようになってくれました」
「……杏寿郎さん。うちは離婚していることを聞いていますか?」
「……はい」
「親の不仲で離婚を目の当たりにして……結婚に対して希望がないと思っていたんです」
「……」
「そんなあの子が結婚を考えている相手だと言ったんです。賛成こそすれ反対する理由がありません。あんなふうに真剣に正面から言ってくるなんて……強くなったのは杏寿郎さんのおかげなんでしょうね」
その言葉に胸が詰まるような、今この場にいないナマエに想いが溢れて拳に力が入る。
「ナマエさんは……誰よりも希望を持っていると思いました。結婚と、いつか未来に訪れる自身の家族に対して」
「……」
そうだ、ナマエと知り合ってからずっと見ていた。俺の母上を始め、父上や千寿郎に対する接し方はいつも楽しそうで、それは全部家族というものへの憧れなのだと今ようやく理解する。
「……」
また沈黙が少し流れて、次の言葉を発しようとしたときにナマエが戻ってきた。
「戻りましたー……」
「……じゃあ行きましょうか」
「……」
この話は終わりだと言うようにナマエの母親は水を一口飲むと立ち上がる。俺もそれ以上は何も口にすることなく、続いて立ち上がった。
「会計終わったよ」
「え!? いつの間にそんな気遣いできるようになったの!?」
「ふふーん、杏寿郎さんのおかげです!」
「あんた……普段からそうやって惚気てばかりじゃないでしょうね?」
「え? 惚気てる?」
「さすがに俺も照れるな!」
会計がもう終わっていると告げたナマエに母親は心底驚いて、そしてすぐに呆れの表情をナマエに向ける。
いつもではないが俺が先に会計を済ませていたりはしたがそれを真似て、しかも堂々と俺のおかげだと言われるとは。嬉しいのと若干の照れが出るのは仕方ない。
駅までの道のりでナマエの母親の行き先を聞く。ここから1時間もかからずに着くようで、ちゃんと到着したかどうか連絡しろとナマエが母親に言っている姿は、出会って間もない頃のやり取りのようだと感じた。
駅のホームまで見送ることにした俺たちは三人で改札を通る。ファミレスと同じように人がまばらのホーム。空いたベンチに座るナマエとナマエの母親に暖かい飲み物を買って渡す。
電車が来るまでの少しの時間、限られた時間の中で全てを伝えるのは難しい。それでも今、伝えたいことがあった。
「もう少しだけナマエのお母さんと話したいんだがいいだろうか?」
「私……、ここにいないほうがいいですか?」
不安げに見上げてくる瞳。未来の話をするのに、そんな顔をしてほしいわけじゃない。少しだけ席を外してもらおうとしていた考えをすぐに改める。
「いや、ここに一緒にいてくれ」
安心させるように笑って、緩く首を振るとナマエから安堵の息が出た。
それを見て、俺はナマエの隣に座る母親に向き直る。目線が下になるようにしゃがみ、姿勢を低くした。
「先ほどの続きになってしまいますが……。ナマエさんが“家族”というものに希望を持てるような未来を共に作れるのなら……俺はその努力を惜しみません」
電車がもうすぐ到着するアナウンスが流れる。そのアナウンスが流れ終わったあと、ナマエの母親がゆっくりと口を開いた。
「娘が誰かと一緒に笑っている姿を見て今日はとても嬉しかったわ。だからただ……娘を寂しいと泣かせないでください」
そう言うとナマエに向いた母親は、ナマエに手を重ねながらゆるりと笑う。
「母親の私が願うのはそれだけです」
「ぉかあさ……」
ナマエが言葉にならない声をさらにかき消すように電車がホームに到着した。ナマエの母親が立ち上がり、ゆっくりと電車に乗り込むのを二人並んで見届ける。
「また、年が明けたら行くね……」
「待っているわね」
「道中お気をつけください」
「杏寿郎さん」
「はい!」
「至らない娘ですが、よろしくお願いします」
「っ、もったいないお言葉をありがとうございます」
電車の無機質な扉が別れの名残惜しさを無視して閉じていく。ゆっくりと動き出す電車の窓から見えたナマエの母親が俺達に手を振りながら……目元を拭っていたのだけが見えた。
電車が行ってしまったホームに立ったままでいると手に温もりが伝わってくる。繋がった手に労いを込めて指で何度かさすると、ナマエからも同じように返された。
「杏寿郎さん……」
「どうした?」
「お母さんに会ってくれてありがとうございます」
「俺こそ、今日会わせてくれたことに礼を言わせてくれ」
俺を見上げる顔に、自分の顔が緩むのが自分でもよく分かる。
「はは、顔が泣きそうだ」
「言わないでくださいー。一生懸命我慢してるんです」
カバンからハンカチを出して目元を覆う姿はもう我慢できていない。
「じゃあ早くナマエの家に帰ろう」
「……はぃ」
手を繋いで駅から出ようと促すとナマエが体を寄せて来る仕草に、早く帰って思いきり抱き締めたくなる。たくさんの想いを全身で伝えたい。
「あ、結婚のことだけ話して同棲するって話のこと言い忘れちゃいましたね」
「よもやっっっ!」
改札を出てしばらくしたあと、思い出したように言われた言葉に今日一番の大きな声が出た。
2025/06/29:初出