天竺総長といろいろなごはん_2
私が作ったお弁当が散々だったにも関わらず、イザナは私と一緒に昼食を食べたがった。もちろん私お手製のお弁当をリクエストすることも忘れない。そのおかげで少しずつ腕前が上がっていき、卵焼きを焦がすことも無くなった。
「……ふーん。やりゃできんじゃねえか」
「毎日誰かさんが食べたいってねだるからね」
イザナは卵焼きを口に入れ、うまいな、と呟いて飲み込んだ。
「そろそろ頃合いだな」
「頃合い? 何の?」
「俺の家で夕食を作れ」
「……はい?」
いやいや頃合いでもなんでもなくない? 確かに卵焼きは上手になったけど、その他はからっきしだよ? 唐揚げいまだにうまく揚げられないし。
「できねぇのかよ」
「そもそも家で料理しないし……」
できる料理と言ったらカレーくらいだよ、と私が答えると、
「それでいい、それを作れ」
と、イザナは言い出す。
いろいろ理由をつけて断ろうとしたものの、それを上回る屁理屈を並べ立てられ、結局私は彼の家で夕食を作ることになった。母には適当な理由を並べて、帰りが遅くなると伝える。
食材を買い込んでイザナの家に上がる。キッチンはそんなに使っていないのか、汚れもなくきれいなままだった。
どうにか作り上げたカレーライスを、食器棚にあったそれっぽいお皿に盛りつける。煮込みすぎてジャガイモが煮崩れたけど、それ以外はたぶん問題ないはずだ。
「どうぞ。先食べてて」
「オマエ食わねェのか?」
「使ったもの洗ってから食べるよ。イザナは冷めないうちにどうぞ」
「洗うのなんか後でいいだろ。座れ」
でも、と言いかけて私はイザナの意図に気づいた。そしてすとんと椅子に座る。自分の分のカレーを持って。
二人で向かい合って「いただきます」と挨拶をした。
きっとイザナは夕食のメニューなんて何でもよくて、誰かの作った夕食を、一緒に食べたかっただけなんだろう。
どこにでもある、普通の家庭のようなそんな夕食を。
「後で洗い物手伝ってよ」
と私が言ったら、
「王に指図するとは偉くなったモンだな」
などと笑いながら返す。この調子だと手伝ってくれそうにないな……。
