全部青春のせいってことで
二日前、学校の帰り道。人生で初めて不良の集団に絡まれた。何事かと怯えて固まっていると、まるでタイミングを見計らったように一人の男の子が現れ、不良たちをボコボコにして去っていった。名前を聞いたら、羽宮一虎だ、と教えてくれた。改造されてるけど、あれ溝中の制服だな。治安悪い男子だなあ……。
昨日は、塾から家に帰る途中。またしても不良たちが私の行く手を阻んだ。帰りたいんですが、と言っても退く気配がない。
困り果てていると、一虎くんがどこからともなく現れて不良たちをボコボコにして帰っていった。彼の背中に「ありがとう」と声を掛けるとちょっと嬉しそうだった。
そして今日。母からのお使いで外に出たら、予想通り不良たちが現れた。私の予想が正しければ、多分一虎くんが……あ、来た。私は彼が何か行動を起こす前に、話しかけることにした。
「あの、一虎くん」
「ん?」
「……この不良の人たち一虎くんがけしかけてるよね?」
一虎くんは口笛吹いてこちらから目を逸らした。図星だなこれ。私がじっと見つめていると、しらを切り通すのも難しいと思ったのだろう。へらっと笑ってそれを認めた。不良たちは用が済んだのか帰っていった。
「バレた?」
「一昨日、昨日、そして今日もさ。連続で絡まれて、その都度一虎くんが出てきて、殴って退散させてるじゃん。わかりやすすぎる」
犯人はわかった。でも動機はさっぱりわからない。
「ピンチを解決すりゃオチねぇ女はいねーって読んだんだけどなー」
「最初の一回ならね。三日連続は逆効果だよ。ていうか、その言い方だと私のこと好きっぽく聞こえるんだけど」
「それで合ってる」
「……え?」
「オマエが好き」
な、付き合お、と開き直ったように迫り来る。いいよ、と返すと、その場でめちゃくちゃはしゃぎ出した。
「マジで!? いいの!?」
どうせすぐ飽きるでしょう、とタカをくくっていた。こんな怖い人の好意を断ったら何されるかわからない。
それくらいの理由で受け入れた。
あれから1年経つ。
恐ろしいことに、まだ別れていない。
何が彼をそうさせるのか、いまだによくわからないままだ。
