全部青春のせいってことで_3
※多分最終軸。
一虎くんと付き合い続けて、気がつけばもう20歳を超えていた。色々あったけど、いまだに別れていないのが不思議なくらいだ。
「なぁナマエ、オレちょっと気になったんだけどさ」
「どしたの千冬?」
「一虎君と別れたいって思ったことねぇの?」
「あー……まあ、あるよ」
閉店後のXJランドで、社長の千冬くんと掃除をしながら会話を続ける。場地さんは試験勉強だとかで早々に帰ってしまったので、今いるのは私と千冬くん、そして一虎くんの3人だ。
「だよな。こんなこと言っちゃアレだけどさ、一虎君って恋人にはしたくねぇタイプだろーし。浮気とか平気でやりそう」
「当たりー。してたしてた、めっちゃしてたよ。昔一回私がガン詰めして『もう別れてやる!』ってキレながら言ったことがあったの。そしたらさ、一虎くんが『別れるならオマエ殺してオレも後追うぞ!!』って刃物持ち出して私以上に泣き喚くから、命の危険感じてなんとなく有耶無耶になったこともあったし」
「うわ……」
あからさまにドン引きしてる様子が、千冬くんの声からありありと伝わってくる。生きてるから笑い話で済んでるけど、下手したらワイドショー行きだよねこんなん。
「で、次第にそれも面倒になってきてさ。浮気を問い詰めなくなったら『かまえよ!!』ってその辺の物殴りながらキレ散らかしてきてね」
「ええ……」
「だから『浮気しないならちゃんと構ってあげる』って言ったら浮気しなくなった。それなら別れる理由もないし……で今に至る感じ」
千冬くんは呆れてるのか驚いてるのか、なんとも言えない顔でこちらを見ている。
「…まあ、ずっと付き合ってるうちに私も一虎くんのこと好きになっちゃったんだろうね」
「マジで!?」
横からいきなり一虎くんがすっ飛んできた。重い。
「うわっちょっと引っ付かないでよ! まだお店の掃除終わってないでしょ!!」
「えーそんなんもうどーでもいーし。とっとと帰ってオマエとヤりてーもん」
「ダメだよ、掃除終わらせてからじゃないと一緒に帰ってあげないからね」
「ちぇー、わーったよ」
私がぴしゃりと跳ねのけると、一虎くんは渋々掃除を再開する。千冬くんはその様子を見て、どことなく感心した様子だ。トラを手なずける猛獣使いとでも思われてるのだろうか。
「なんつーかさ……」
「うん」
「オレ、一虎君の恋人がナマエでよかった、ってマジで実感してる」
他の女のコだったら間違いなく修羅場ってるだろーからと千冬くんは続けた。
「……まあ、ずっと好きがいつまで続くかわからないけど、今のところはなんとかなってるしいいんじゃないかな」
私は笑う。いいところもあれば悪いところもある、それはきっと自分だってそうだから、と。
