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「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
オールマイトの号令が入る。
という事はこれで全員集まったという事だ。
(女子の数割がパツパツスーツってヒーロー科攻め攻めすぎだろ……)
まだ大半の名前を憶えられてないが、麗日や蛙吹、芦戸はピチピチスーツだ。
身体のラインを出すのに抵抗のある零仔はそういうのを嫌がったが、このコスチュームはこれはこれで身体のラインが浮いてしまう。
アーマーがついているのが幸いだった。
さて、オールマイトの説明によると、これから行われるのは屋内での戦闘訓練のようだ。
二人一組、敵側とヒーロー側に分かれて対人戦闘訓練。屋内で敵が核兵器を隠しており、ヒーローはそれを処理する。
ヒーローは制限時間以内に敵を捕まえるか核兵器を回収する事、敵は制限時間内まで核を守るかヒーローを捕まえる事。
設定がアメリカンだな。
そしてコンビ及び対戦相手はくじらしい。
それでいいのか。
まあ事務所との連携がとれぬまま共闘する事もあるかもしれないプロの世界を考えれば、ありえない話ではない。
…飯田に指摘されて、緑谷がフォローを入れたもののなんとなくオールマイトの表情が「やべえそこまで考えてなかった」と言いたげなのは置いておこう。
粗方皆がくじを引き終えた。
蛙吹は常闇とコンビのようだ。
「ふむ…栂野少女が余ってしまったな」
残っているのは零仔だけのようだ。
クラスの人数が奇数だからどうしても一人余ってしまうのだろう。
何だかこういう感覚も久しぶりに感じてくるな…と浸っている中、
「はいはーい!オールマイト先生、栂野さんをうちのチームにいれてもいいですか!」
「ム!葉隠少女と尾白少年のチームか!!」
「尾白くんいい?」
「俺は全然。寧ろ心強い」
「では栂野少女は葉隠少女と尾白少年のIチームに入るようにな!」
すごくトントン拍子で話が進み、いつの間にか所属チームが決定されていた。
雄英はこういう積極性もあるのか。さすがヒーローの卵たち。
…お節介なのは分かるが、厄介者を抱え込んでしまったという自覚が果たしてあるのか無いのか…
「えへへ、私葉隠透!見ての通り透明人間!」
「俺は尾白猿夫。よろしくな、えっと…」
「………栂野零仔。よろしく」
「栂野さんって特待生なんでしょ?すっごいね!」
「特待生だろうが体力テストで最下位だった人間がすごいわけないでしょう」
…ああ、しまった。
中学の時の癖で、突き放すような言い方をしてしまった。
尾白はそこで気圧されたのか喉の奥に何かをつっかえた様な仕草と何か言いたげな表情をして、何も言わなかった。
「栂野君!葉隠くんの言葉に対してそんな態度は失礼だとは―――」
「待って、私気にしてないよ!順位なんて関係ないし、昨日栂野さんも言ってたように個性なんて用途様々じゃん!それに、ヒーロー科の特待生って推薦でしょ?じゃあすごいんだよ!」
「……っ」
飯田の説教を遮っての葉隠の発言に、今度は零仔が気圧された。
こういう子は、苦手だ。
どう対応していいかわからない。
何も言えずに俯いた零仔をオールマイトは遠くから観察する。
(フム…特待生、栂野少女…中学までは『氷の女王』などと揶揄されていたようだが……コミュニケーションを取り合うのが不得手と見た)
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