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午後、ヒーロー基礎学。
蛙吹とお友達になれて少し気が緩んでしまっていた。引き締めねば。
自分より前の席の蛙吹がチラリとこちらを振り返り、手を振ってくる。
ぎこちなく手を振り返すと、また彼女は嬉しそうに笑った。かわいい。
そのすぐあと、突如ドアがガラリと開いた。
「わーーーたーーーしーーーがーーー!!」
この声は。
「普通にドアから来た!!!」
HAHAHAHAと豪快な笑い声と共に、伝説のヒーロー、オールマイトが姿を現した。
本物のオールマイトに一気にクラスがざわついた。
正直零仔も少し興奮している。ヒーローに疎いとはいえ、ずっとリビングレジェンドとして刷り込まれてきた意識が、本物の伝説を前にして興奮しないはずがない。
すごい迫力だ。画風からすでに違う。
けものフレンズと北斗の拳くらいの…何を言っているんだ自分は。そこはどうでもいい。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ!単位数も最も多いぞ!」
ポーズきめながら言ってるのにすごい迫力だ。
声がビリビリ来る。
「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!!!そしてそいつに伴って…こちら!!」
次の瞬間、壁が隆起し、いくつもの棚のように分裂する。
「入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿って誂えた…戦闘服!!それに着替えたらグラウンドβに集合だ!!」
コスチューム。
格納式のロッカーから順番に各々のコスチュームの入ったケースを渡される。
被服控除。入学前に「個性届」「身体情報」を提出すると、学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれるシステムだ。「要望」を添付する事で、便利で最新鋭のコスチュームが手に入る。
零仔が求めたのは保温機能だ。
温度操作という個性上、自身の体温の保温は必須。そこにあまり自身の集中力を削ぎたくはない。そこでコスチュームに抜群の保温性を求めた。
だが、零仔の個性は正直肉弾戦に於いて決して身体機能をブーストしてくれるものではなく、戦闘になれば必然的に己の身体能力だよりになる。故に、着膨れもしては困るという要望を叩きつけた。
そして、肉弾戦のサポートになるような装備を。
動きやすく、尚且つ保温性が高い。
さて、どんなコスチュームになっているのだろう。
***
蛙吹のコスチュームがハイレベルだった。
ボディースーツ。ピチピチのボディスーツ。
すっげえなんか、レベルがたけえな。ヒーロー科。
「よく似合ってるわ、零仔ちゃん」
「ああ…うん……」
首元、腕、足を覆う中世の甲冑風の鋼鉄製のアーマー。
太ももまでのぴっちりとしたワンピースタイプの衣装は完全耐熱性、耐寒性を備えているらしい。
戦闘でスカートがめくれ上がらないようにガーターがニーハイにスカートを繋ぎ止めているが、
(はっ恥ずかしい…!!外見の要望出しとくんだった…!!)
「更衣室出たくないなあ…」
「でももう行かないと怒られるわ。慣れれば大丈夫だし、似合ってるわ」
確かにそろそろ時間も押してきている。
仕方がない。意を決してグラウンドβに向かう事にした。
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