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オッス。オラ零仔。
雄英にも慣れてきて、人付き合いにもそれなりに慣れて来た。……多分。
嘘です。全く慣れてないしどうすればいいかわからない。
ただここの人達はすごく友好的で、大体あちらから話しかけてくれるので、何とかなっている。

問題は。

「今日も取材陣すごかったわね、零仔ちゃん」
「ほんっっっとによ……」

オールマイトの雄英赴任。
これは大スクープとなり、連日雄英には報道陣が詰めかけている。
オールマイトから教えを受けているこちらにも当然その波は行き、毎朝と放課後、報道陣に揉まれながら登下校をしているという訳だ。
度が過ぎる前に先生たちが助けてくれるが、こうも毎日で先生たちも参っている。
メディアの前で碌なことはできない。ヒーローも大変だ。
今日も例外なく報道陣に揉まれて机に突っ伏した零仔を気遣い、蛙吹は水筒のお茶を出してくれた。

「梅雨ちゃんあなたいいお嫁さんになれるよ…」
「ケロッ零仔ちゃんたら」

はあ。かわいい。
キャラ崩壊の兆しがあるが、緊張の緒が解けたと思って欲しい。
水筒のお茶を飲んで体力を回復する。お、今日はほうじ茶か。


さて、チャイムが鳴り皆が着席する。
毎度相澤にどやされるからか皆着席して静まり返るまでが早くなった。軍かここは。
相澤が入って来る。手には分厚い書類が握られていた。

「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらったよ」

という出だしと共に、やはりというべきか、爆豪と緑谷へ小言が入る。
まああの二人が一番暴走してたものな。暴走というならば爆豪のみだが。

「さて、HRの本題だ。急で悪いが今日は君らに……」

何だ。何が来る?
相澤の事だ、抜き打ちテストか?それともまた小言?

「学級委員長を決めてもらう」
「「「「学校っぽいの来たーーー!!!」」」」

この盛り上がりようである。
学校っぽい事はあんまりしてこなかったものな。どちらかといえば戦闘訓練の方が濃密で。

「委員長!!やりたいですソレ俺!!」
「ウチもやりたいス」
「オイラのマニフェストは女子全員膝上30p!!」
「ボクの為にあるヤツ☆」
「リーダー!!やるやるー!!」
「やらせろ!!」

矢継ぎ早に立候補が入った。
普通科なら「雑務」って感じでこんな事にはならないんだろうが、ここヒーロー科においては集団を導くというトップヒーローの素地を鍛えられる。
ここに受かった人たちは皆、その素質があるんだろう。
零仔は手を挙げなかった。
率いるというのは性に合わないからだ。こういうのはちゃんとした素質を持つべきものがやるものだ。

そして峰田か膝上30p発案は。却下だ。
ハイハイと皆が皆立候補し、収拾がそろそろつか無くなって来たかと疑い始める頃合いだった。

「静粛にしたまえ!!」

切り裂いたのは飯田だった。

「『多』を牽引する責任重大な仕事だぞ…!「やりたい者」がやれるものではないだろう!!周囲からの信頼があってこそ務まる聖務…!」

なんか美化が過ぎないか飯田?
最近彼は真面目が過ぎるだけなんだなと察し始めた。真面目馬鹿なんだきっと。
そう一人納得している中尚飯田は続ける。

「民主主義に則り真のリーダーをみんなで決めるというのなら……」

なら?

「これは投票で決めるべき議案!!!」

そういう真っ当なことを言っている飯田の手はだがしかし正直だった。

「そびえ立ってんじゃねーか!!なぜ発案した!!!」
「日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」
「歪みなく天を衝く綺麗な挙手だな…」
「栂野さんツッコミどころが少しずれてないかな?」

そうかな。気にならない?あの綺麗すぎる挙手。

なんやかんやで話が進み、結局投票となった。
無論零仔は立候補していないので投票はされない。されても困るしな。

結局学級委員長になったのは、

「僕、三票ーーー!!!???」

緑谷だった。
大丈夫なのか。彼。
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