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飯田の姿勢に関する疑問は尽きないまま、飯田のあの演説であっという間に全員冷静になった。
すぐに人混みは疎らになり、緑谷、麗日、飯田が座り込んでいる零仔を発見して駆け寄って来た。
「栂野さんあっという間に流されてったけど大丈夫!?」
「ああ…うん、大丈夫。さっき轟君が……」
そう言って見上げると、その姿はもうなかった。
「あ、あれ…?いない…」
「なんかよくわかんないけど、轟君に助けてもらったって事…?」
「う、ん…人混みの外に引っ張り出してもらって、気が付いたらいなくなってた…」
「意外と照れ屋なのかもね、轟君!」
とてもそうには見えないが麗日にはそう見えているのだろうか。
あんなボコり合いした昨日の今日でそういう事になるのだろうか。そこまで神経が図太い人間にはとても見えないが。
その後警察が到着し、マスコミは撤退した。
大騒ぎの昼休みは終了し、午後のHRが始まる頃。
委員長として前に立った緑谷がそわそわし始めて、口を開いた。
「委員長は、やっぱり飯田君がいいと思います!…あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ、僕は飯田君がやるのが「正しい」と思うよ」
「あ!良いんじゃね?飯田食堂で超活躍してたし!緑谷でも別にいいけどさ」
「非常口の標識みたいになってたよな」
続いた皆の推薦により、結局委員長は飯田となった。
結局、この形に収まんのね。
「ねえ零仔ちゃん」
「なに、梅雨ちゃん」
「飯田ちゃんに入ってた一票、アレ貴方でしょ?」
……そうだ。
零仔は最初、飯田に入れた。
飯田がそうだと相応しいと思ったからだ。別になってもならなくてもいいけれど、彼が一番合っていると思ったから。
(ホラ、見てる人はちゃんと見てるじゃない)
活き活きとした表情でHRを進める新学級委員長飯田を見て、人知れず零仔は満足そうな表情を零した。
(…それにしても、どうやって…)
***
「ただのマスコミが、こんなことできる?」
雄英の後門に集結しているのは、先生たちプロヒーローだった。
彼らが前にするのは、見事に粉々にされた校門。
そもそもマスコミを防ぐためにほぼ機能していた門だ。敵襲来にも備えてあるものが、マスコミ如きにあっさり破壊されるなどあり得ないしあってはならない事だ。
「そそのかした者がいるね…」
校長が門を見つめ、低い声で呟いた。
「邪な者が入り込んだか。若しくは…宣戦布告の腹積もりか…」
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