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(轟君が、左を……)
何やら観客席でエンデヴァーが叫んでいる。
だけど、轟も、零仔も、なにも耳に入ってこなかった。
あの小さかった、泣いていた少年は、もういない。
轟の目は、もう父親のような、はるか遠くを憎しみ続けるような目じゃなかった。
(…ありがとう、緑谷君)
間違いなく、緑谷は、彼のヒーローだった。
結果は、轟の勝利に終わった。
あの後、散々冷やされた空気が轟の炎で瞬間的に熱され膨張し、爆発を起こした。
緑谷は場外。意識は最早なく、身体はボロボロだった。すぐにでも手術が必要だろう。
余りの衝撃の対戦に、茫然自失になりそうなのをこらえる。
次の対戦は、飯田VS栂野。
相手は飯田だ。全く油断できない相手になる。そして、飯田をもし勝ち抜いたら、次の相手は。
(いや、今は、いい)
彼は戦い抜いた。
過去を乗り越えた。まだ清算し切れないだろう、悩むだろう。
でももう大丈夫だ。
最も超えるのが困難な山場は、もう超えた。
「うはぁ…飯田と戦って勝てたら次は轟かぁ……栂野、やばい流れだな〜」
「まあ、上に行くにつれてそう言う流れにはなってくるけど…」
怒涛の強敵だ。
それでも。
「勝ちに行く。それだけよ」
負けるつもりなんて、端からない。
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