この国に来て、どれくらい経っただろうか。
常識も、言葉も…何もかもが自分のいた国とは違う国。日本国というらしい。
どれだけの月日が流れても、あの惨状は忘れる事は出来ない。
祖国は沈んでしまった。
何者かの野望の為に。
この館の主、次元の魔女─侑子が教えてくれた。
彼女は、人々の願いを叶える"店"を営んでいる。
『…っ』
思い出して身震いをする。夢であって欲しいと、何度願った事か…
──コンコンコン
「リノちゃん?」
ノックの後、眼鏡を掛けた少年─四月一日に呼ばれる。
彼はリノがこの国へ来て、暫く経ってから侑子の店を訪れ、願いを叶えてもらう為ここで働く事になった少年だ。
「すごくいい天気だし 皆で庭でお茶しようよ」
『おぉ いいね!楽しそうー』
いい天気と言えども、祖国よりはやや肌寒い。リノは薄手のカーディガンを羽織り、庭へと向かった。