3.先輩と共に
当日、朝早く起きて電車に乗った。
ちなみに大会は前日から行われていて、同じ市内の白浜高校と春日高校は初戦敗退したが、西星高校は初戦を通過し、勝ち残っている。
この大会は予選トーナメントで4つの代表校を決め、最終日の決勝リーグの上位2位が3月下旬にある全国大会へ出場できるというものだ。
電車に乗ると、1人の先輩に話しかけられた。
「ねえねえ、永沼七星ちゃんだっけ?」
と。
あれ、この人…
「あ、えっと…柊弥くんのお兄さんの…!藤木先輩ですよね!」
「そー!よく分かったねー!」
なんと、あの時の3年生ペアのうちの1人、藤木悠斗先輩だった。
藤木先輩は3年生だからあの大会で引退しているが、一般の大会にもちょくちょく出ている。南田先輩とペアなのも変わらず。そして1年生の柊弥くんのお兄さんだけど、似てるんだなぁこれが。
「柊弥やつぐみから話聞いてるよー、これから見に行くの?」
と聞かれる。
「はい!そのつもりです!」
「俺も一人で行くところだったから一緒に行かん?」
「え、いいんですか?!」
「いいよー、本当は別の人と行くはずだったのにあいつバイト休めなかったから…」
電車の中では先輩達が現役の頃の話を聞いた。
先輩は星華中出身で、中学時代も団体戦で全中出場の一歩手前で敗退したと言っていた。でも同じチームのペアが個人戦では全中に出たらしく、その後衛が西星の前のキャプテンの森島先輩らしい。
「そういえば、七星ちゃんがテニスに興味持ったのも俺らの試合だったんだって?」
と言われる。誰がどこまで話してるんだろうか私のこと。
「そうなんです!その日つぐみちゃんと遊ぶ約束あって、でも先輩達勝ち進んでるから見に行きたいって言ってたので付き添いました」
「そーなんだ!俺ら二日目まで勝ち進んだからなー、決勝リーグはインハイ出場者ばっかで俺らボロボロだったけど」
それから昨年の選抜予選のことも聞いた。昨年は3位で全国大会を逃したり、決勝リーグでの白石工業戦が一番印象に残っているとも聞いた。他のペアのおかげで勝てたけど、南田藤木ペアが特に調子悪かったのがこの試合だった、とのこと。
「俺とかサーブ入んなさすぎて心折れてたもん、あの時」
なんて笑いながら言われるが。
「その時の動画、インターネットにアップさてるから暇な時見てみるといいよ。俺らひどいけど。」
もしかしてその動画、見たことあるかも。
「多分それ見ました…!」
「まじ?さすがだな!」
話し込んでいたらあっという間に到着し、乗り継ぎして地下鉄で会場まで向かった。
会場に入ると既に試合は始まっていた。西星はまだのようだが。
そこでは別の高校が試合をしていた。
「あれ、一橋商業もうそんな勝ち進んでるんだ」
と隣で藤木先輩が呟いた。
「相手は…北別南野高校ですかね?」
「そうっぽいね。でも一橋商業のほうが勝ってるね今のところ。今の一商そんなすごかったんだ…」
隣町の一橋商業高校、団体戦では数年ぶりに地区大会を勝ち進んだらしい。その上に勝ち進んでるというわけだ。
「北別南野の橋下中村ペアは去年から県大会でチラッと見る名前だな。対して一橋商業の笹原笹原ペアはたしか兄弟だったはず」
一橋商業の後衛の粘り強さが目に入る。そして素早い動きで球に食らいつく。対して北別南野の前衛がポーチボレーを綺麗に決めた。今の一瞬、とても魅入ってしまった。
結果は笹原笹原ペアが勝ち、一橋商業が勝利。とても熱い展開だった。
「てか、西星もう始まってるみたいだしあっち行くかー、」
と言った藤木先輩が動き出し、私も先輩についていく。
向かうと、西星の応援メンバーがそこにいた。今回は冬休み中ということで、部員全員で応援に来たと。
「なんで兄ちゃんと七星ちゃん一緒にいるの」
と柊弥くんに不思議がられた。
「電車で会ってそこから話してただけだし」
と藤木先輩は返す。
「七星ちゃーん!会えたー!!」
とつぐみちゃんもやって来た。
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