4.選抜予選トーナメント


西星高校 対 白石工業高校


事前に下調べして来たが、昨年この大会で決勝リーグでも当たって、西星が勝っている。そういえばさっきも藤木先輩が昨年の白石工業戦の時の話をしてたよな。


西星高校の1番手は福島玲一・野本智ペア。に、対しての白石工業の1番手は原口涼吾・大倉渉太ペアか。今のところは福島野本がリードしている。

「大倉くんって去年の藤田大倉の…」
と藤木先輩が横で呟く。
「もしかして先程先輩がおっしゃってた…」
「そう。去年の白石工業はあの子だけ1年生で出てた。…まあそんなこと言ったら西星の野本もそうだけど。」

そういえば、現3年生がいた時のレギュラーにいた下級生は野本先輩だけだったと聞いたことがある。


「それに原口大倉ってどちらも緑陽西中出身で、団体で全中出てますからね」
と隣にいた永井先輩も話に入ってきた。

「優聖よく知ってんな」
先輩が永井先輩に聞く。
「僕らも全中予選で当たりましたからね、緑陽西中と…それこそ大倉くんと当たったけど強かったです。」


…にしても。そんな原口大倉ペアに1ゲームも譲らない福島野本ペア。気づけばもうマッチポイント。


「おお!!!」
思わず声を上げてしまった。野本先輩が気持ちよくスマッシュを決めた。



見事福島野本ペアは勝利。そして次の試合が始まった。
西星高校はこの大会からレギュラー入りをした北戸・川島ペア。対して相手は白松・赤島ペア。

とその時、近くにいた星永先輩と北内先輩の会話が聞こえた。
「瑛太あいつすごい緊張してる」
「そりゃあいつにとってやっとの団体戦だからな…」
「中学の後半とか怪我と手術のせいで部活も出てなかったもんなあいつ」
という内容だった。

「え、川島先輩ってそんなことあったんですか…?」
と、思わず私も話に入ってしまう。

「…靭帯損傷だっけ。あいつ中2の団体の新人戦前に怪我して手術したんだよね。俺もそれまでは瑛太とペア組んでたし、それからはあいつの代わりでキャプテンやってたし。まあ詳しいことは本人に聞いたらいいと思う。」
と北内先輩が話してくれた。


「元々器用だし上手かったのもあるけど、そんなことあってあいつは高校ですごい伸びてる選手なんだよね。特に、ちゃんと難なく動けるようになってからは。生き生きしてるしね。」
ほら、なんて言いながら川島先輩のほうを見た北内先輩。

川島先輩のプレーを見てると、今聞いた話が嘘のように思えてしまう。元気よさ、粘り強さ、そして楽しさが伝わってくる。
そして北戸先輩との息の良さ。北戸先輩も普段はクールなのに、部活になると輝く人なのであろう。地区大会でレギュラーじゃなかったこの二人は試合の姿を見るのが初めてだったが、とてもいい流れを作っていたと思う。

今日の北戸川島ペアは絶好調。見事に勝利し、西星は2回戦を突破した。









そして3回戦は釜川高校。隣町にある高校だ。勉強のレベルは南市で一番高い高校と聞いたことがある。こっちの地区でいう桜樺高校ぐらいって。


釜川高校の1番手は中井・乾ペア。対しての西星は、長島・野川ペアか。
中井乾 ペアは県大会でも活躍しているペアで、中1からペアらしい、と川岸先輩に聞いたような。

「特にあの前衛、乾くんが厄介。新人戦シングルス県ベスト16。そして去年の西支部シングルスで優勝候補だった南田薫にストレート勝ちしてるからね」
と、藤木先輩が言っていた。

にしてもやっぱり、あの前衛はエグい。最初は長島野川も押され気味だった。でも長島くんも素早く球を追う。野川先輩の無駄のない動きもとても良い。

後半からは相手のミスも目立った。勝利は西星の長島野川ペアだが、相手ペアもとても良いプレーを魅せた。


「あの中井乾ペアは中学からずっとペア。南市は釜川中が強いんだけど、その中でも注目されてた。」
と永井先輩が言っていた。

南市といえば釜川中。西星の女子テニス部も釜川中の人は結構多いし、男女共に全国大会に出場したりとしている学校だったはず。北宮高校の3年生の岸選手をはじめ、今でもOBが高校の大会でも大活躍しているとのこと。
現に西星高校のOBの水原先輩も、個人団体共に全中出場果たしているっけ。



続いて出てきたのは川岸花田ペア。対して釜川高校は丸澤・村澤ペア。

最初は2ゲームを釜川高校ペアが先取。後に西星ペアが1ゲームを取るも、釜川高校ペアがもう1ゲーム先取。ゲームカウントは2対3。

丸澤村澤ペア、このペアはよく名前を聞くペアだ。釜川高校の強いイメージが固いのも、3ペアも個人戦で大活躍しているペアがいるからなのであろう。このペアは中学からの2年生ペアで、中学時代から数々の県大会にも出場。

「釜川高校のレギュラーってだいたいどのペアも中学からのペアな気がする」
と立花先輩が言う。
「え、どのペアもですか…?」
「中井乾は釜川中ペア、丸澤村澤は南畦中ペア、そしてまだ出てないけど今までの試合3番手で出てた1年の水上田村ペアもたしか南畦中出身ペア。」
そして永井先輩も話に入ってきて、
「しかもあの3ペア共通して言えるのは、中学から県大会で活躍してきてた。ちなみに俺は中3の時に丸澤村澤にストレート負けしたことあるよ」
と言われた。

…なるほど。南地区の良いペアが揃ってる高校とも言える今年の釜川高校。今のまでの北宮高校のイメージをびっくり返すように。


そして西星ペアが1ゲームを取り、ファイナルゲームへと繋がった。今大会で西星の一番の盛り上がり。周りも結構な盛り上がりだ。決勝リーグ進出をかけた試合でもあるし。


前衛のレギュラー唯一の1年生の花田くん、普段はおちゃらけてるのに試合になると本当に顔つきが変わる人だと思う。いやほとんどそうなんだけど、 花田くんが特に。地区大会で見た時にそんな印象を持った。

川岸先輩と花田くんって、元気っぽさが似てる。ノリも似てると思ってたが、ペアとしての息も合ってる。このペアでの試合は初めて見たけど、とても良いんじゃないかと思う。



相手ペアの後衛が打った球はアウトボールになり西星ペアの勝利が決まった。これで決勝リーグへの進出が決まった。


正直組み合わせを見たときからハラハラしてた。昨年度この大会で良い試合展開になった白石工業高校に、今年度は個人戦で活躍しているペアが多い釜川高校。でも西星高校の皆さんは諦めずに勝ち取った。



さあ、今日の試合はこれで終わりだ。
大会は明日まで。明日も見に来よう。決めた。

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