5.選抜決勝リーグ


次の日になり、昨日同様朝早くから電車に乗って試合の行われる緑陽市まで向かった。

ホテルを取る金はなかったから、それなら2日続けて電車で行き来したほうが安く済むから。
藤木先輩も同じで今日も一緒に向かうことになった。今日は南田先輩と、その彼女の萌美先輩もいるとのこと。


「本当は昨日こいつもいたんだよ」
って藤木先輩が笑いながら南田先輩を指す。

「いやすまんって!バイト入れる日間違ったんだって許せ!!」
「まあ俺1人じゃなかったからいいけどさ?ところでなぜ萌美ちゃんは来てるのか」
「萌美はあとから友達と合流して女子のほう見に行くって。 西の森光陽に親戚いるんだって、女子決勝残ってるしあの高校」

女子で残ってる4校は、全国常連の緑陽広島、男女共に決勝リーグに残っている強豪の星の里と北陽学園、そしてそしてもうひとつは西の森光陽。女子の西星はベスト8で敗退しているから今日はいない。


「七星ちゃんって南聖中だったよね?」
と、萌美先輩に聞かれる。 南田先輩と萌美先輩が付き合ってるのか。こりゃ美男美女だ。

「そうです!小学校も一緒でしたよね?」
「だよねー!小学生の時に遊んだ以来かなー?たしか家近かったよね!」
「中1の時に引っ越したんですけどね…」

家庭の都合で中1の時に引越ししたけど、特に遠いところに引っ越したわけでもないから、学校は転校とかはしなかったんだけど。だから今の家は玲一と家が近いんだ。それから玲一と前よりも仲良くなったってのもあるんだけど。

「てかそれなら俺も家近かったってことじゃん」
と南田先輩が言う。
「でも薫がこっち来たの小6じゃん、もう外で遊ぶような年じゃなかったもん」
と萌美先輩がそれに返す。

「あ、ここラブラブしてたら放っておいていいからね」
と藤木先輩に言われる。
「悠斗も彼女と一緒の時とても幸せそうな顔するくせに」
「薫には負けますよー」

…にしても本当に仲が良いのが分かるこのペア。南田藤木ペアの強さの秘訣かもしれない。ここまでペアで仲良いのは今の西星では全然見ない気がする。





会場に着くと、昨日より観客が増えていた。萌美先輩は別の友達と合流する予定があるらしく、着くとすぐにその友達のところに向かってしまった。

「さすがに休日に決勝やるからな、人も多いわ」
と南田先輩が話す。
「去年は三学期始まってからだったもんね、決勝も平日だったからね」
「それな、決勝で当たった学校どこも近場だったから部員で応援来てるのに、こっちは遠いし学校あるからレギュラー以外来れなくてすっからかんだったわ」
「なつかしいなー。それまで全然調子悪くなかったのに最後の白石工業戦での薫」
「うるせ、お前もサーブ全然入ってなかっただろ」
「終わってからの落ち込みが史上最高だったわ」

南田先輩と藤木先輩の会話、永遠に聞いていられる自信が出てきた。面白すぎる。本当に。



「あれ、もう1回戦終盤じゃん」
と南田先輩が言う。
確かに時間的には始まってから結構経つ。昨日より遅く出発したしね。

西星と当たっているのは北陽学園。全国大会でも活躍している有名高校だ。

「でも今年の北陽、レギュラーほとんど1年生じゃん」
と藤木先輩が言う。
「たしかに、2年減ってくらしくて2年の有力な前衛がいないって。菅井くん言ってたわ」


現在西星ペアは福島野本ペア。と当たっているのは北陽学園の2年ペア、澤口馬田ペア。

結果はストレート負け。やっぱり全国入賞高は強さが違う。
他にも北陽学園高校戦は、西星からは川岸花田ペアと長島野川ペアが出たが、全部のペアがストレート負けで北陽学園とは3対0という結果になった。





続いては星の里高校戦。今年のこの大会の優勝候補校。名簿を見ると分かるが、レギュラーは全員2年生だったりする。

この星の里高校は数々の運動部が全国大会へ出場してると聞く。ハンドボールにバレーボール、バスケットボールにバドミントンに色々と。学科も様々で県内の私立高校の中ではとても良環境で、市外はともかく、県外からの入学者も多いと聞く。


相手方の1番手は藤守・奥田ペア。対して西星は、長島野川ペア。

藤守奥田ペアといえば今の代で県内最も注目されているペア。そして藤守選手は小学生時代から全国大会常連選手。他県の人からも一目置かれてる選手だ。動画サイトには試合動画も沢山のっている。

結果は藤守奥田ペアの勝ち。長島野川は2ゲームを取り序盤は追いついたが、結果は負けてしまった。


「北陽と星の里、この2校の強さは伝統的だからね。俺もこの2校と当たった時は本当に苦戦したし負けっぱなしだったよ」
と隣で南田先輩が言う。
「俺らも去年ボロ負けしたねこの大会」
と藤木先輩まで。
「南田藤木、あの日一勝もせず」
「まあ白石工業の藤田くんには国体予選でリベンジできたし良かったけど?」
「でも俺らペアなって北陽と星の里ペアに勝った覚えない」
「しー!」

あの南田藤木ペアでも勝った覚えのない…それほど、すごいことは今見てて分かった。


続いて星の里ペアは中藤・森井ペア。対して西星は福島野本ペア。

「そう、さっきの藤守奥田とこの中藤森井、この2ペアが去年からレギュラーだった」
と南田先輩が言う。

それどころか星の里高校のレギュラー、調べるとみんな中学時代、それに一年生の時からから大活躍してる選手ばかり。レギュラー全員が2年生で昔から強い選手しかいないって、どれだけすごいんだろう。

私の中学の友達でバスケ部だった子が星の里高校行った子いるけど、やはり部活環境がどこも良すぎると言っていた。だからさくら市から進学する人も多い。


「でも智もあの辺の選手とは小学生の時から何度も戦ってるからね、同い年だし。いい勝負するようになったとは思う」
野本先輩も小学生時代から活躍していると聞く。中学でも高校でも一年時からレギュラーだって野本先輩。さすがとしか言えない。


そんな強豪ペア相手にいい試合展開を持っていった福島野本ペア、ファイナルゲームで敗れて星の里高校の勝利が決まるが、それでも良い試合だった。

西星の負けは決まったが3番手勝負もスタートしている。星の里の広嶋・谷本ペアに、西星は北戸川岸ペア。北戸先輩と川岸先輩がペアになるのか。なるほど。

広嶋谷本ペアはダブル前衛だ。そして北戸川岸両選手とも後衛の選手だ。これはいい試合展開になりそうだ。







そして西星高校は、緑陽南高校と当たる。今回の決勝リーク進出校で唯一の公立高校。ソフトテニス部の強い西中出身のエースペア、岡上群山ペアを始め、この高校も中学時代から上手い人が揃っているらしい。

たしか岡上選手は、中学時代は白石工業の大倉選手とペアだったんだっけ。で、群山選手は北陽のレギュラー、河山選手とペアで全中個人戦出場してるっけ。

そんな岡上群山ペアと当たった長島野川ペアは圧倒的勝利を見せた。エースペアに勝っているとは、すごい…!

他2ペアも勝利し、西星高校は3位が決まった。



その瞬間、隣のコートからは大きな歓声が聞こえた。

どうやら、北陽学園高校が優勝したらしい。

1番手勝負は星の里、2番手勝負は北陽が勝ち、3番手勝負はファイナルゲームの末、北陽学園の一年生ペア、森・名取ペアの勝利。

北陽学園高校の選抜出場が決まった。



「はー、星の里が有力だからどうなるかと思ったけど」
と藤木先輩が言う。
「確かに、強いペア多いですしね」
「個人戦でも星の里が圧倒的上位占めてるからね、本当に」



でも、今日、観に来れて良かったと思う。
とても良い試合ばかりでした。

そして西星高校のみなさんも、3位、おめでとうございます。

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