7.3月
3年生が卒業し、時は3月に入る。入学して1年経つのかと思うと時が進むのって早く感じる。
卒業式の後に全校で行われるお別れ会、少しだけお世話になった南田先輩と藤木先輩を始め、マネージャーの伊吹先輩と日菜子先輩とも話すことができたり、前キャプテンの森島先輩や、他にも様々な先輩と話すことができた。
3月に入ってしばらくした時の話。昼休みに絆創膏をもらいに1人で保健室へ行く。するとそこにいたのは川岸先輩だった。
「あれ、七星ちゃん1人珍しい!」
「あ、たしかにいつもつぐみちゃんいますしね!」
2年生の先輩で1番話しているであろう川岸先輩。積極的に話しかけてくれて、とても嬉しいといつも思う。
「川岸くん本当にこれで日曜日の県大会大丈夫なの?」
「あー、こんなこと割とあるんで多分乗り気で行けますわ」
なんて先生と先輩の会話が聞こえたから私は思わず聞いてしまった。
「足どうしたんですか?!」と。
「あー、さっき体育で捻挫した。まあ大丈夫だと思うけど、週末大会なんだよね」
左足首に湿布を貼り付ける先輩。慣れたように言うけど、週末大会って…。今日は木曜日。たしか次の県大会は日曜日。でもその間にも練習はあるだろうし、私も心配になってきた。
「大丈夫これくらい。軽くて助かったし、すぐ治るし」
「ならいいんですけど…無理せず安静にして下さいね!」
「ありがと七星ちゃん。ところで週末何の大会かわかるしょ?」
そりゃ分かりますとも。というか同じクラスの長島くんが昨日までのテスト期間でも県大会出場する人は部活あると言っていたし。むしろ明日学校行かなくてラッキーとか言いまくってるし。
行きたさはあるけど場所が悪い。遠いし、交通費もかなりかかる。今回は他部員どころかマネージャーのつぐみちゃんも行かないらしいので、結果を待つしかないのだ。
「川岸先輩、県大会頑張ってくださいね!現地には行けないけど応援してます!」
「ありがと七星ちゃん、頑張るよー!」
私はそうして保健室を出た。先輩の足の調子、良くなると良いけど…。
その週末の県大会、なんと西星高校の長島野川ペアが準優勝したらしい。川岸先輩がわざわざラインで教えてくれた。川岸先輩は花田くんと組んで3回戦敗退らしいが。
週末が明けて月曜日。登校してきた長島くんはとても眠そうに教室へ入った。
「長島くん昨日お疲れ様!」
「おーありがと、ということで俺今日寝るね」
「いや、寝るの早いな」
いつも以上に眠そうな長島くん。授業中先生も今日は仕方ないっていう目で見ていたけど。
放課後になると完全復活。今日は部活が休みらしく、長島くんは彼女さんに会うらしく、学校が終わるとすぐ帰ってしまった。
つぐみちゃんと一緒に帰ろうとすると、廊下で川岸先輩と野川先輩と野本先輩に会った。
「あ、川岸先輩、足大丈夫でした…?」
「あー、全然大丈夫大丈夫。ラインでまで心配してくれてどうもありがとうね、」
「いえ何ともないなら何よりですけど…、」
まだ湿布は貼ってあるようだが。
「俺中学の時に盛大に捻挫してから癖ついちゃってこういうこと良くある。でもいつも平気だからそのうち完治するし、」
「言ってお前1年の時長引いたじゃん」
と野川先輩が言う。
「それはそれ。」
流れで、5人で学校の食堂へと向かった。
「部活ないしたまにはこういう日もいいじゃん?」なんて半分野川先輩の威圧で決まったけども。
「いつも思うけど野川先輩なんでそんなに元気なんですかね…」
とつぐみちゃんが先輩に質問した。
「こいつ中学ん時からずっとだよ、いくら大会とかで疲れて帰り爆睡してても次の日キリッとしてるから」
と、野川先輩と同じ中学だった野本先輩が答える。
「俺なんて今日体育のマットで半分寝てて目の前にいたバド部の奴に体当たりしたから」
と川岸先輩が言う。
「うちのクラスの長島くんも今日の授業爆睡して、理由言ったら先生に諦められてましたから。」
と説明すると、あいつらしいな、なんて先輩方は言っていた。
「でも昨日の長島野川ペアどうしたんですか?!」
とつぐみちゃんが野川先輩に聞く。
「いや、まぐれ中のまぐれ」
と野川先輩が答える。
「こいつ、昨日からこれしか言わねえの、腹立つよねー。」
と川岸先輩も続けて言う。
「俺も、昨日は自分頑張ったなーとは思う。泰聖とってのも大きな力だったと思うけど。」
かっこいいこと言うじゃないですか、野川先輩。
とても伸びているペアだなぁと思っていたが、まさかここまでとは。いや、これから先まだまだ伸びるかもしれない。
「泰聖はともかく春太っていうのが腹立つ」
と野本先輩が野川先輩に言う。
「あ?」
「中学の時俺がなんとなく誘った奴がこうして俺の記録を簡単に超えて行くんだからな…」
「あ。それはすいませんね」
「もうこいつ調子良すぎて無理腹立つ」
話を聞くと、野川先輩は中学から始めたけど、その時にテニス部に入るきっかけになったのは野本先輩だと言う。中1で同じクラスで、出席番号も前後で席順も前後、その時にテニス部に誘われて入ったらしい。
野本先輩はジュニアからの経験者。かれこれ小3から続けているらしい。
「南聖の人ってジュニアからの人もそうじゃない人もいますよね」
とつぐみちゃんが言う。
「んーでも男子そんないないけどね、女子は大体小学生からの人多い」
「俺もだけど、中学の時にペアだった春日の浅沼も中学からだよ」
野本先輩、野川先輩が続けて言う。
「うっそ、野川浅沼って2人とも中学からだったの?悠真も小学校からだと思ってた」
と川岸先輩も。
「でも川岸先輩も中学からですよね?」
とつぐみちゃんが聞く。
「そうだね、でもバドやってたから」
と先輩は答える。
意外と、中学から初めて中学から活躍している人が多い西星生。特に南聖中なんて経験者も多い中学だが、それでも注目されるレギュラーになった野川先輩もすごい。
「ところで七星ちゃんって、浅沼悠真ってわかる?」
と野本先輩に聞かれる。
「んーと、名前聞いたことはあります…」
「俺のペアだったやつ。今春日で副主将やってるやつなんだよね」
と野川先輩が言う。
そして写真を見させて頂いた。
「あ、わかります!瑞夏先輩の…!」
「そうそう!ちなみに今も続いてるしあそこ」
と野川先輩に言われる。
瑞夏先輩は女子テニス部だった先輩。高校は白樺商業で、今もソフトテニスを続けている。小学生の時に近所でよく遊んでいたのが瑞夏先輩。中学でも沢山話してて、彼氏の話も沢山聞いたなぁ。
他にもたくさん濃い話をした。他校のみなさんの話も聞いたりとか…。
遠征翌日なのにごめんなさい、って感じだけど、とても楽しかった。
- 7 -
*前次#
ページ: