水上敏志D


 六月からのランク戦は新しくいくつかの部隊が加わった。空閑やヒュースなどさまざまな困難に見舞われつつ、C級からやっとB級に上がってきた甲田隊も注目株だが、何より目を引くのが元A級部隊の隊長で東と共に狙撃手の道を切り拓いた小豆畑率いる小豆畑隊こと早沼第一だ。小豆畑以外のメンバーも元生駒隊だったり、B級上位の部隊に所属していたりと実力者だ。しばらくランク戦に参加のなかったメンツだが、第一ラウンドでは他の追随の許さぬ強さで一気にB級中位まで浮上してきた。
「第一ラウンドは下位戦、中位戦、上位戦どれも白熱した試合が行われました。今日のB級中位戦、実況は私、竹富桜子。解説には王子隊の王子隊長、そして生駒隊の参謀、水上隊員に来ていただきました!」
 高校生になった竹富がいつもの勢いがある調子でまくし立てる。王子と水上はそれぞれ、よろしく、と片手を上げた。
「水上隊員はなんと、自ら志願してこのランク戦の解説をしてくださっています」
「へえ、珍しいね。みずかみんぐはこういうのはめんどくさくて嫌いだと思ってた」
 水上が解説をするのがあまりにも珍しいのか、竹富はわかりやすく目を見開いているし、王子は意味ありげに笑っている。こいつはいつもこういう風に笑っているので元々そういう顔なのかもしれない。
「まあ、俺がここにおるんは約束なんで。厳しーく解説させてもらおと思います。特に早沼第一」
「なるほど、やすきちとの約束か。案外義理堅いんだね」
「何言うとんねん。俺はこれでも義理と筋はよう通す男やぞ」
 そういう風に見えないよ、と王子が笑いながら付け足す。やかましいわ。
 早沼第一の対戦相手は諏訪隊と香取隊だ。どちらも実力のある部隊だが、相手にとって不足はないだろう。思いっきり暴れてこい。
 各隊員の転送が始まり、その軌道が大画面に映る。大画面でそれを見ながら、なゆたへと心の中でエールを送った。

 END
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