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輝ける愛



目が合う。宝石のようだと思った。瞬時に世界の色が抜けてしまえるほどに鮮烈な輝きを、決して自分なんかの手では収まりきらない諦観を、しかしすべてを投げてしまえるくらいの強い衝撃を。それらが荒波のごとく胸に押し寄せ、矮小でつまらない脳みそをぱっくり飲み込んでしまった。私はあれほどに美しいものを知らない。そんな私が宝石に喩えたのは普遍的な比喩であることを知っていたからに他ならない。その人を見た時の衝動と美しさを形容する言葉を知らないので、広く魅了される宝石を用いたのだ。悲しくもあり、切なくもあり、あいしてしまいたい。強く強く思った。駆け出した。お待ちくださいお嬢様、なんて侍女の制止が聞こえたような気もするけど相手にしなかった。行かなくちゃ。あの人の手を取らなくちゃ。衝動に駆り立てられるままその人の手を取った。


「あなたが私の愛する方なのね!」


闖入者に向ける丸くなった双眸。その瞳すらも宝石が瞬いているようで胸が熱くなった。探していたわけではない。求めていたわけでもない。だが、この人なんだと悟った。私が愛さなければいけない人なんだと。私が愛してしまう人なんだと。感じ取ったのだ、紛うことなきこの人だけが私の運命の愛なのだと。みつけましたわ、私の愛。