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日向ぼっこ



※アカデミー時代。









私とナルトしか知らない秘密の隠れ場がある。私達二人しか知らないから誰にも見つからないし、誰も入ってこない。その場所に居る時だけは、彼と私を傷つけるものは何もない。今日もその場所でナルトと出会う約束をしている。


「ナルト!」


「よっ!」


木々の葉っぱを掻き分けながら顔を出せば、そこには一足先に彼が到着していた。嬉しそうに駆け寄る私に、彼もにっかりと笑って喜んでくれる。ナルトの笑った顔を見ただけで自然と気分が高揚した。


「今日は何を教えてくれるんだってば?」


「影分身の術!」


「俺、あの術嫌いだってばよ……」


「大丈夫、ナルトなら出来るよ。頑張り屋さんだもん」


「そう?」


「うん、だから頑張ろ?」


「おう!」


こうして私とナルトは時間も忘れ、里のことも忘れ、日が暮れるまで術の会得に無我夢中になった。時には出せなかったり、時にはへろへろになったナルトの分身が出来たりといろいろ大変ではあったが、それでもナルトと一緒に居られることが何よりも嬉しかった。彼の瞳を映したかのように澄んだ青い空も気付けば朱と橙のグラデに染まっていた。かあかあとどこからともなく鴉の鳴き声が響いてくる。

ナルトがチャクラ切れを起こしてばたりと地面に伏せた時、自分は門限の刻限だということをはっと思い出した。ぜえぜえと息絶え絶えの彼に言うのは心苦しい上に言いたくないのだが、言わないと私が叱られてしまう。最悪外出禁止も言い渡されかねない。それだけは嫌だ、私は遠慮がちに地面で大の字を描くナルトに声をかけた。


「な、ナルト」


「そういや門限の刻限だったな」


「うん」


「今日はありがとな。明日も教えてくれってばよ!明日こそはぜってえ物にしてみせる!」


ばっと上半身を起こした彼は傷だらけ汗だからけの顔で、からからと笑った。気にしてない、彼の気持ちが言わずともひしひしと伝わってくる。痛々しい傷で笑うナルトを見て、胸が酷く苦しくなった。無性に泣きたくなって目が熱くなる。帰りたくない、もっと一緒に居たい、ナルトと一緒に。彼を一人にしたくない。私を一人にしないで。

ワガママということは諦めが簡単につくくらい知ってるし、どうせ叶わないことも知ってる。家に帰らずナルトと居たなんてことが親にバレてしまえば、一生家から出してもらえないかもしれない。いやだ、いやだなぁ。私、ナルトと居たいもん。ならば帰るしかない、私はようやく脚を動かした。


「ナルトのお願いごとが叶うおまじない、してあげる」


「ほんとかほんとか!? どうやんだ?」


「じっとしててね」


はしゃぐ彼を落ち着かせ、地面に膝を突く。なになにと好奇心旺盛なナルトにちょっぴり恥ずかしいと思いながらも、彼の三本線が入った頬に自分の唇を軽く押し当てた。ちゅ、と小さなリップ音。ゆっくり顔を離せば、ナルトは何が起きたかまるで解らないといったようにぽかんと口を開けたまま呆けていた。


「前におばあちゃんによくやってもらってたの。今はもう居ないけど」


「そっか、ありがとな」


「また明日ね」


「じゃあなー!」


照れくさそうに笑うナルトに手を振って背中を向けた。明日も、明後日も、その次もナルトとここで会えたらいいな。