相棒 1
「あなたの未来を、家族を…取り戻してみませんか」
「……は?」
その、おかしな宗教勧誘か?と聞き返したくなる一言は……私の人生を大きく変えることになる。
私は現在21歳。大学卒業を目前に控え、忙しい日々を送っていた。
将来は死んだ兄と同じ警察官になろうか、医療従事者は?…公務員とか?…高校時代から進路に散々頭を悩まされてきたが、それも固まり、就活を終えていたというのに…まさか卒業間近に進路を大幅に変えることになるとは思わなかった。
「扱いとしては、一応…公務員となります。貴方がこの話を受けてくださって助かりました。血縁者の方のほうが、"本来の道筋を手繰り寄せやすい"ですからね。」
「へー…」
のんびり喫茶店で珈琲を飲んでいた時に、突如話しかけてきたスーツの男性…桜庭さんというらしいこの人は、時の政府というところからきた私の担当者らしい。
時の政府というのは、未来で発明されたタイムスリップ装置を使った犯罪を取り締まるところで、桜庭さんはそこで働いているらしい。
タイムスリップ装置を使った犯罪者のことを時間犯罪者、というそうだ。
その桜庭さんの説明によると…私は、タイムスリップしてきた犯罪者によって未来を変えられた被害者の血縁者であり、その私なら未来を元どおりに戻すことができる可能性が高いらしい。
それで私をスカウトした、とのことだ。
「殉職した貴方のお兄様…彼の死に、時間犯罪者が関わっていたことが最近になってわかったのです」
「…!まさか…」
「彼の死は、未来に多大な影響を及ぼしました。我々も協力は惜しみません。共に、本来の未来を取り戻しましょう」
兄の死は…本来ありえないものだったのか。
兄は本当は、生きているはずだったのか…!
それなら…迷う必要なんてない。
「はい!全力を、尽くします!」
必ず、兄の未来を取り戻してみせる。