∵neta∵
04/03≫
在りし日のプリント(鋸男)
日向ユキノ
公安所属のデビルハンター
アキより年下。デンジより年上。
家庭的で面倒見が良い。
何故かマキマの支配下におかれない。契約した悪魔の影響か?
「デンジくん、勉強とか興味無い?」
そんな声とともに渡された数枚のプリントにデンジは顔を顰めた。
「んー興味ねぇっす」
そのままプリントを適当に置き、その後ユキノから勉強について言われることは無かった。
「なんだこれ」
帰宅後、リビングに散らばった紙を広いアキが首を傾げた。そして中身を見て納得したように頷いた。
だが真っ白な状態のそれを見てデンジを呼び付ける。
─ペシッ
アキはそれをデンジの額に叩き付けた。
「おい、これやれよ」
「はあ?ユキノさんやんなくていいって言ってたし」
「アイツがお前のために作ったんだ。読め」
眼前に突き付けられたそれをデンジは受け取ると、仕方なさそうに目を落とした。
『□に当 てはまる漢字 を書 きなさい
(1)デンジくんとポチタくんがいっしょに□ ぶ。
(2)パワーちゃんがデンジくんと□ いものに□ く。
(3)アキさんの□ ったご□ をみんなで□ べる。
(4)デンジくんが□ しい□□ をすごす。
(5)アキさんの□ で□ いあう。
(6)パワーちゃんとデンジくんが□□ のおかしをかけて□ う。
・・・
』
「へへ」
自分のためだけに作られた問題集にデンジはだらしなく頬が緩むのを抑えきれなかった。ユキノがどんな思いでこれを作ったのか分からないが、ただただ自分を想ってくれることが嬉しかった。
「ユキノさんって俺のこと好きなんかな」
別に誰に聞かせる訳でもないデンジの独り言を拾ったのはアキだった。
「勘違いするなよ。ユキノは誰にでも優しいだけだ」
「なんだよ、嫉妬か?」
ぶーぶーと野次を飛ばすデンジにアキは手が出そうになるのを必死に抑えた。アキもなんだかんだ、沸点が低いのだ。大人気ないとも言う。
そこにタイミング良くインターホンが鳴る音が聞こえた。
続く鍵の開くガチャリという音にデンジは急いで玄関へと向かう。
「ただいま帰りました」
「ユキノさん!とパワー、おかえりー!」
「ワシはオマケか!ユキノ〜疲れたのじゃ〜」
「ごめんね、いつもありがとう」
買い物に行っていたユキノとパワーをデンジは出迎えた。
パワーは疲れた何だと言いながらも、ユキノに懐いているようで、買い物などの用事には毎回付き添っている。
恐らくパワーはユキノのことを母のように思っているのではないかと、デンジは予想していた。
アキやデンジに怒られるとパワーはすぐにユキノの元へと甘えに行く。ユキノはいつもパワーの話を聞き共感しながらも、諭すように窘めるのだ。
デンジはそれが羨ましいと思いつつ、ユキノを母のようには思えなかった。母ではなく、言うなればもっとそう…。
そこまで考えてデンジは我に返った。ユキノ に対し、情欲を抱いたことはないし、これからもないはずだ。
「デンジくん?どうかした?」
ブルンブルンと頭を振るデンジにユキノがそっと問い掛ける。アキやパワーがいれば「ほっとけ、いつものことだ(じゃ)」などと言われるのだろうが、既にここにはいない。
初めてその腕に抱いた男はあまりにも華奢だった。
細く柔らかい身体はデンジが力を込めれば、簡単にポキリと折れてしまいそうで怖くなった。
ユキノから香る甘く優しい匂いは心の底から、それこそ本能から安心できた。
デンジの胸にドロリとした感情が流れ込む。
これは、この人は、俺のものだ。
言語化できないその感情ははたして独占欲だったのかもしれない。愛を超えた感情、羨望、渇望。デンジは全身で日向ユキノという男を欲しいと感じた。否、誰にも譲らない と決めた。
バディを亡くし、はらはらと泣くユキノの姿に抱いたのは果たして──。
「ユキノさん、俺が死んだらそうやって泣いてくれる?」
「ばか、縁起でもないこと言わないで」
目を赤くして怒るユキノにデンジはゴクリと唾を飲み込む。ユキノが泣く理由も笑う理由も全部自分だったらいいのに、デンジはそんな強欲なことを考えずにはいられなかった。
プリントの最後の問題は
『(100)ユキノはデンジくんが□□ きです。』
だった。
デンジの胸がきゅうとなり、思わず笑みがこぼれた。
「なあ早パイ、あい ってどう書くんだ?」
「は?あぁ」
アキは怪訝そうにデンジを見たが、その手元のプリントに気付き合点がいった。
それは数日前まで遡る。
薄明かりの中、ああでもないこうでもないと首を捻るユキノに耐えかね、アキが声をかける。
「何やってんだ、早く寝ろ」
「うーん。デンジくん勉強とか興味無いかなって思ったので…」
「市販の教材とかでいいだろ」
「でも小学生用とかって書かれてたら、いい気はしないでしょう?それにきっと身近な分かりやすい文章の方が覚えたくなりますから」
そう言ってまたうんうんと唸るユキノにアキはホットミルクを差し入れた。
別に、デンジの為だけにユキノの時間が使われることにムカついて、早く寝かせるためにホットミルクにした訳では無い。誰よりも働き者のユキノに休んで欲しかっただけだ。誰に言う訳でも無くアキは心の中で独りごちた。
以下、最後のページ
『(100)ユキノはデンジくんが大好 きです。』
その文の左に少し歪だが、丁寧に書いたことが分かる字で、『おれは愛してます!』と書かれていた。
公安所属のデビルハンター
アキより年下。デンジより年上。
家庭的で面倒見が良い。
何故かマキマの支配下におかれない。契約した悪魔の影響か?
「デンジくん、勉強とか興味無い?」
そんな声とともに渡された数枚のプリントにデンジは顔を顰めた。
「んー興味ねぇっす」
そのままプリントを適当に置き、その後ユキノから勉強について言われることは無かった。
「なんだこれ」
帰宅後、リビングに散らばった紙を広いアキが首を傾げた。そして中身を見て納得したように頷いた。
だが真っ白な状態のそれを見てデンジを呼び付ける。
─ペシッ
アキはそれをデンジの額に叩き付けた。
「おい、これやれよ」
「はあ?ユキノさんやんなくていいって言ってたし」
「アイツがお前のために作ったんだ。読め」
眼前に突き付けられたそれをデンジは受け取ると、仕方なさそうに目を落とした。
『□に
(1)デンジくんとポチタくんがいっしょに
(2)パワーちゃんがデンジくんと
(3)アキさんの
(4)デンジくんが
(5)アキさんの
(6)パワーちゃんとデンジくんが
・・・
』
「へへ」
自分のためだけに作られた問題集にデンジはだらしなく頬が緩むのを抑えきれなかった。ユキノがどんな思いでこれを作ったのか分からないが、ただただ自分を想ってくれることが嬉しかった。
「ユキノさんって俺のこと好きなんかな」
別に誰に聞かせる訳でもないデンジの独り言を拾ったのはアキだった。
「勘違いするなよ。ユキノは誰にでも優しいだけだ」
「なんだよ、嫉妬か?」
ぶーぶーと野次を飛ばすデンジにアキは手が出そうになるのを必死に抑えた。アキもなんだかんだ、沸点が低いのだ。大人気ないとも言う。
そこにタイミング良くインターホンが鳴る音が聞こえた。
続く鍵の開くガチャリという音にデンジは急いで玄関へと向かう。
「ただいま帰りました」
「ユキノさん!とパワー、おかえりー!」
「ワシはオマケか!ユキノ〜疲れたのじゃ〜」
「ごめんね、いつもありがとう」
買い物に行っていたユキノとパワーをデンジは出迎えた。
パワーは疲れた何だと言いながらも、ユキノに懐いているようで、買い物などの用事には毎回付き添っている。
恐らくパワーはユキノのことを母のように思っているのではないかと、デンジは予想していた。
アキやデンジに怒られるとパワーはすぐにユキノの元へと甘えに行く。ユキノはいつもパワーの話を聞き共感しながらも、諭すように窘めるのだ。
デンジはそれが羨ましいと思いつつ、ユキノを母のようには思えなかった。母ではなく、言うなればもっとそう…。
そこまで考えてデンジは我に返った。
「デンジくん?どうかした?」
ブルンブルンと頭を振るデンジにユキノがそっと問い掛ける。アキやパワーがいれば「ほっとけ、いつものことだ(じゃ)」などと言われるのだろうが、既にここにはいない。
初めてその腕に抱いた男はあまりにも華奢だった。
細く柔らかい身体はデンジが力を込めれば、簡単にポキリと折れてしまいそうで怖くなった。
ユキノから香る甘く優しい匂いは心の底から、それこそ本能から安心できた。
デンジの胸にドロリとした感情が流れ込む。
これは、この人は、俺のものだ。
言語化できないその感情ははたして独占欲だったのかもしれない。愛を超えた感情、羨望、渇望。デンジは全身で日向ユキノという男を欲しいと感じた。否、
バディを亡くし、はらはらと泣くユキノの姿に抱いたのは果たして──。
「ユキノさん、俺が死んだらそうやって泣いてくれる?」
「ばか、縁起でもないこと言わないで」
目を赤くして怒るユキノにデンジはゴクリと唾を飲み込む。ユキノが泣く理由も笑う理由も全部自分だったらいいのに、デンジはそんな強欲なことを考えずにはいられなかった。
プリントの最後の問題は
『(100)ユキノはデンジくんが
だった。
デンジの胸がきゅうとなり、思わず笑みがこぼれた。
「なあ早パイ、
「は?あぁ」
アキは怪訝そうにデンジを見たが、その手元のプリントに気付き合点がいった。
それは数日前まで遡る。
薄明かりの中、ああでもないこうでもないと首を捻るユキノに耐えかね、アキが声をかける。
「何やってんだ、早く寝ろ」
「うーん。デンジくん勉強とか興味無いかなって思ったので…」
「市販の教材とかでいいだろ」
「でも小学生用とかって書かれてたら、いい気はしないでしょう?それにきっと身近な分かりやすい文章の方が覚えたくなりますから」
そう言ってまたうんうんと唸るユキノにアキはホットミルクを差し入れた。
別に、デンジの為だけにユキノの時間が使われることにムカついて、早く寝かせるためにホットミルクにした訳では無い。誰よりも働き者のユキノに休んで欲しかっただけだ。誰に言う訳でも無くアキは心の中で独りごちた。
以下、最後のページ
『(100)ユキノはデンジくんが
その文の左に少し歪だが、丁寧に書いたことが分かる字で、『おれは愛してます!』と書かれていた。