「やあ、ハリー」
「こんにちは、オルティス先生」
「その……シリウス・ブラックのこと、あんまり気にしないで欲しい」
「どうして?!僕の両親を殺したやつを気にするな、だって?」
ハリーは憤慨した様子で足早にその場を後にした。ハリーがハーマイオニーたちに「オルティスはスネイプやスリザリンの奴らと仲がいい上、シリウス・ブラックを庇い立てした。怪しいやつだ」と話すことは必然だった。

「ヘレン、あなたの事情を知らないポッターが憤るのも無理は無いと思いますよ」
「僕は恐怖に震えながら学園生活を送るよりは、と思ったのだけどね」
「兄さんがポッター夫妻を裏切っていないことは秘密事項です。恐ろしく思うのも当然でしょう」
レギュラスのもっともな言葉にヘレンは何も言い返せず、しゅんと萎れたように俯いた。気が逸ってしまったばっかりに、いたずらにハリーに警戒されてしまったことを悔いているのだ。
そんなヘレンを励ますようにレギュラスは肩を叩く。
「ヘレン、落ち込まないで。あなたがいかにMr.ポッターを思っているか、いつかきっと彼にも伝わりますから」
「ありがとう、レギー」
力無く微笑んだヘレンにレギュラスはそこに居ない兄を少しばかり恨んだ。

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