6

「世理〜?なにやってんの?」
電話を切ったところで五条に捕まった。来栖の怪我の件で表には出さずとも五条は心配していた。
勝手な行動ばかりするのは何も五条だけではないのだ。
「まあな、今日は遅いし明日話すよ」
「駄目。悠仁たちには明日でいいけど僕には今教えて」
いつもの軽薄さは鳴りを潜め、懇願するかのように五条は来栖を見つめた。
その勢いに押され口を開く。

「傑がいる小倉で不審人物が確認されているのは知ってるよな」
お前の任務だった訳だしと言外に告げ話し始めた。
「だが不審人物は小倉だけじゃなく、佐世保にもいたらしい」
「小倉と佐世保か。なるほどそういうことね」
「そう。だから健人と雄に名古屋へ行ってもらって、歌姫さん達に舞鶴と大阪って考えてるんだけど」
「そこで米国絡みの不審な点があったら確実に黒ってことか」
五条はふむと独りごちた。
そして暫く考え込んだ後、顔を上げて来栖の見た。
「だとすると明日造船所に恵を一人で行かせないほうがいいよね」
「だな。なら俺も行くわ」

「じゃあ僕は二人を連れて東京工廠付近を調べることにするよ」
「ああ頼む」
そして二人は仕事の話をやめ、その足で喫茶店に向かった。下戸で酒を飲めない五条だが、来栖が飲んでいる姿を見るのが好きだった。
赤く顔を染め襟を寛げて酒を呷る姿は決して悠仁たちには見せない大人の色気があった。五条は酒を口にしていないにも関わらずその姿に当てられ脳が沸騰する感覚に陥るのだった。