▼ 出会いの話:北川第一
自分たちのチームを倒したのは、汗だくで今にも倒れそうな少年だった。
疲労による汗とは違う、痛みを堪えているため浮かぶ脂汗。
両脇からチームメイトに支えられ、自分たちが勝利したことさえ飲み込めていないようだった。
「……なんなの」
及川徹は親友の岩泉一とともに地方の小学生のバレーボールの大会に出場していた。決して大きな大会ではなく、小さな会場で素人チームもかなり多かった。
ただ小学校卒業を控え、最後にどこかの大会に出ようと話し合ったのち参加を決めただけ。最後の思い出作りの一環だった。この面子で最後にそう力まず、楽しくバレーして終わりたいという願いがあったから。
――けれど、負けた。
楽しむことが第一だった。本気でやっていたとは言えない。しかし、レベルの低い大会で負けるとは思っていなかった。
相棒ともいえる存在と目があったが、何も言葉が出てこない。
蒼白な顔が上を向く。
幼い顔立ち。歳下だろうか。
薄く笑った儚げな顔が、焼きついて離れなかった。
2016/08/14
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