I'm dead tired:01






終わらない仕事を何とか終わらせてやっと職場を出た。
電車に乗って、でも週末のこの時間だ、中々の混雑具合で座れない。
(パンプス脱ぎたい…)
むくみで足がパンパンで立っているのも辛い程だったけど、こればっかは我慢だ我慢。
…と思うけど、目の前で寄り添うようにして寝ているカップルには異様に腹が立った。
私なんて土曜なのに仕事だったんだよ。
今日はやっと迎えた休みだったのに後輩の不始末で出勤だったんだよ。
もうあと2時間位で日曜日だよ。
席代わってよ。
心の中でつく悪態が気持ちを更に下降させる。
ああダメだこれはダメだと否定して、コンビニでアイスかプリンでも買っていこうかなと思ったけれど、疲労で下がりきったテンションはそんなものでは到底回復しなかった。
たかが数分なのにコンビニに寄るのも億劫になる位疲れた。ものすごく疲れた。
帰ったらすぐにベッドに倒れ込もう。
お化粧落とすのもお風呂に入るのも、なんかもうどうでもいい気がする。


駅からマンションまでは徒歩で暫く。
街灯が多い訳ではない道を、棒のようになった足を引き摺るようにして歩く。
やっと帰れる。
そう喜んだのも束の間、暗い道を歩きながらこの小一ヶ月、殆ど休みが取れなくて荒れ放題になっている部屋を思い出して更にうんざりした。
朝早くて夜遅いから洗濯機を回す時間がない。洗濯物、結構溜まってる。
いくつもの食器も水を張っただけの洗い桶にほったらかしになっている。
…お皿も洗わないといけないのか…
あれもやらないといけない、これもやらないといけない。
プライベートでもそんな事ばっかり。
うんざりしてようやく辿り着いたマンションを見上げた。

(電気ついてる)

自分の部屋の。
え、なんで。
家を出る前に電気は消した。戸締りだってちゃんとした。
(……)
いくつかの可能性を思い浮かべて溜息をついた。
正当な手段で私の家に入れる人なんて限られている。

「会いたくない、な…」

体も心も疲れ切っていて、誰かの相手をする事なんてもう無理だ。
お風呂でさえ入らないでいいやと思っているくらいなのだから。
それでも帰らない訳にはいかなくて、ドアの前に立てば聞きなれた声が少し漏れ聞こえてきた。

ああ、やっぱり。

大きくため息をついて、がちゃんと扉を開ければ振り返った人と目が合った。


(19/4/7)