少しの別れ
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もっと詳しくいえば、保健室の前にいる。
夜の学校は暗かったが、保健室は電気がついているようで、ドアの隙間から明かりが漏れていた。
あの後、どうすればいいかと思った末に、俺らは ばあさん、もといリカバリーガールにこいつを預けようという結論に至った。
「やっぱりまだ学校にいたな」
「さすがイレイザーだな! 言った通りだ」
俺にしては珍しく褒めたつもりだが、イレイザーに思いっきり肘で突かれる。
「おい、声でけぇ。 起きちまうだろ」
「何soon……」
小さい声でコントもどきみたいな事をやっていると、急に保健室のドアが開く。
「ほんとさね。なんのようだい、こんな時間に 」
ぷりぷり怒った様子のばあさんが仁王立ちで立っていた。
だが、俺が今背負っている少女をみるなり顔色を変えた。
「その子一体どうしたんだい! 大分弱っているじゃないか! 」
ばあさんは俺らを中に入れて、少女をベッドに寝かせるよう促した。
さすがベテランとでもいうのだろうか、手慣れた手つきで少女の容態を確認する。
どうやら栄養失調だったようだ。
テキパキと応急措置をした後、点滴を打ってようやく腰を下ろした。
「で? 一体どうしたっていうさね。 何があったんだい」
ばあさんは、真剣な面持ちで俺らに尋ねる。
そこに仕事が早い男、イレイザーがすぐに状況を説明した。
「俺達が帰宅している途中に道端で発見しました。 おそらく外国人で英語しか話せないようです。事情を聞こうにも、パニック状態だったので詳しいことは聞けていませんが、警察を異様に拒絶していたのでひとまずこちらに運びました。」
ばあさんがゆっくり頷いて、今度は俺の方に目を向けてきた。
俺はイレイザーの発言に補足するような形で知っていることを伝えた。
「泣きながら言ってたから詳しくはわからなかったが、発言からして誘拐事件の可能性もありそうだった。俺らの家に連れていくわけにも行かねぇ。だから連れてきた」
俺が言い終わると、ばあさんは、ふうぅ……と大きな溜息をつきながら少女の方に目を向けた。
「アンタらの家に泊めなかったのは正しかったね。 正気に戻った時さらに混乱するだろうさ 」
ばあさんは何かをうーんと考える仕草をすると、またさらに大きなため息を吐いてまたこちらに顔を向けた。
「今日は私もここに残るとするよ。 だからアンタらはもう帰りんさい。」
「でも、 」
俺はなんだかこいつから離れるのは躊躇われた。
「いいから!明日も学校はあるんだよ。 さっさと帰って明日に備えな! この子のことは大丈夫だから」
そういって俺らを保健室から追い出した。
ピシャリと閉められた保健室の前で俺はしばらく動くことが出来なかった。
ばあさんに任せるためにここまで来たのに、
いざとなるとアイツの側から離れてしまっても大丈夫だろうか、と不安になって落ち着かなかった。
「…… 」
「なあ、マイク 」
「……あぁ? 」
「帰るぞ」
「……そうだな 」
イレイザーに急かされて、俺はよくやく帰路についた。
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