なんて呼ばれたい?
付き合ったら呼び方が苗字から下の名前に変わるのは特に珍しいことではない。それは私たちにも言えることで。
今までは、クラスメイト、ボーダー所属の仲間という関係だったから、出水くん、みょうじさんと呼んで、呼ばれていた。それが普通だったし、逆に下の名前で呼ぶのはちょっとあれかなとか思っていたから出水くんと呼んでいたけど、付き合った今、名前呼びにすることで距離を縮めてみたいとか考える。
「出水くんは、なんて呼ばれたい?」
「……公平とか?」
「公平……公平くん?」
「公平くんもいいな」
「それなら公平くんって呼ぼうかな」
男子を下の名前で呼ぶことが生まれて初めてで、呼び捨ては少しハードルが高かった。でも家で何回も、この日が来るかなと思って呼ぶ練習をしてたから噛まずに言えた。
「みょうじさんは、俺に何て呼んで欲しい?」
「私か〜……」
ちゃん付けで呼ばれるのが好きだけど、ネットで男の子はちゃん付けが恥ずかしいという記事を見た。そんな記事はごく一部なんだけど、周りのカップルとか見てても男の子は女の子のことを呼び捨てしてる姿しか見ないのもあって、少しリアル味がある。
色々考えて唸っていると、公平くんが真剣な顔してこっちを見る。
「何考えてるか教えて、我慢するなよ」
真剣に私とのことを考えてくれることがうれしくてたまらない。言いたいことを伝えあっていけたらなと未来を妄想する。
「そうだよね、私はちゃん付けされたいなって思うけど、嫌かな?」
「みょうじさんが好きなのがいいから呼ぶよ。なまえちゃん?」
好きな人からの下の名前呼びは思った以上に破壊力がある。照れる。あとうれしい。とっても。
「何照れてんの?かわいー」
「恥ずかしいよ……」
「これから何回も呼ぶから慣れてこうな」
「だね」
今日からお互い名前呼びで、少し距離が近づいたような気がする。
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