日本でFBIとしての任務を請け負ってどれくらい経っただろうか。ようやくかたがつき、久しぶりになまえと暮らす家に帰ってくることができた。
しかし着いた時には既に深夜という時間帯で、俺の帰りを待つなまえは眠ってしまっているようだった。
またしてもなまえが起きている時間に会ってやることができなかった。
職業柄仕方ないことだとわかってはいるのだが、どうしてもなまえのことになると俺は想いを制御できなくなるのだ。
きっとこいつがいなくなってしまったら、俺は使い物にならなくなってしまうのだろう。
そんなことを思いながら玄関を開け、音を立てないようにして寝室へと足を進めた。
寝室の扉を開けるとベッドに丸まるようにして眠っているなまえ。布団から覗く顔には少しばかりの涙の跡が。
そこからなまえが1人で泣いていたことは容易に想像できた。
俺はまた泣かせてしまったのか…。
いつもいつも、こいつには我慢をさせてばかりだ。それなのにこいつは大丈夫だと言い聞かせるように俺を宥め、帰りを待っていてくれる。俺の大好きな笑顔で迎え入れてくれるのだ。
だが、俺はなまえを無理に笑わせていることくらい気づいていた。
…寂しく切ない気持ちは俺も同じだ。
そんな気持ちを込めて、なまえの寂しさを紛らわせてやれないかと、数週間前に贈ったこのテディベア。それは今、俺の愛おしいやつの腕の中で眠っている。
「シュウくん」と名付けられたテディベアは、寝言でも呼ばれるくらいにこいつの心に侵食し、心底羨ましいと思うほどだ。…まさか自分が贈ったものに嫉妬するなんてな。
俺がずっと一緒に居てやれたら、今度は俺のことをそう呼んでくれるのか?
静かにベッドの淵に腰を下ろし、眠る彼女の頭をゆっくりと撫でながらそんな思いが心を過ぎった。俺の中の独占欲が疼き、彼女と共にすやすやと眠るテディベアをそっと抜き取り枕元に移動させる。お前にはいつもなまえを護ってもらっているが、悪いな。今は俺がなまえの一番側にいたいんんだ。
眠っている彼女を起こさないよう静かに同じ布団に体を滑らせる。
あぁ、隣に眠る温もりはこんなにも愛おしい。
久しぶりになまえを抱きしめ想いを馳せる。なまえの体温と規則的な鼓動を感じるだけで、自然と幸せで満たされるような、ふわふわとした柔らかい気持ちになるのだ。
あぁ、今日はこのまま抱きしめたまま眠ろう。
いいや、お前をこの胸に抱いて眠らせてほしい。お前を想う気持ちと共に。
お前と夢の中で、幸せな時を過ごせるように。
「Good night」
瞼にひとつ、キスを落とす。
朝になって、俺に抱きしめられていることに気づいたなまえがどんな反応をするのか楽しみだ。
明日のなまえを想像しながら、俺は静かに目を閉じた。
2017/06/30