名前は沖縄にいた。かれこれ一週間は滞在しており、高専には前回の任務から二週間は行っていない。
「恵、元気かな…」
旅行であれば一週間などあっという間に過ぎ、寂しさなど感じないかもしれないが、残念ながら任務である。
諸島を飛び回りやっとの思いで本島に戻ってきた。
タクシーの運転手にお礼をし這う這うの体で飛行機に乗り込みすぐさま惰眠を貪った。
「…さま、お客様」
目に入ったのは困り顔のCAさんで、慌てた名前は詫び言を述べながら盛大に転んだ。
「すみません、ほんとごめんなさい!」
恥ずかしさに頬を赤らめながら空港内を早足で駆け抜け迎えに来ていた伊地知の車に飛び込んだ。
「お待たせしてすいません。眠りこけていたようで…」
「大丈夫ですよ、数十分ですから」
ミラー越しに見えた伊地知の顔は本音を言っているようだったので名前は胸をなでおろした。
「一週間お疲れ様でした。初めての長期出張はいかがでしたか?」
「ありがとうございます〜!さすがに寂しいです。今度は誰か一緒に派遣してください!」
「残念ですがそれはお約束できかねます…」
「そんなぁ……伊地知さぁん……」
一補助監督がどうこうできる問題ではないと分かっていたが、口に出さずにはいられなかった。
道中、恵と野薔薇が対面し晴れて一年生が全員揃ったことを聞き一刻も早く高専に到着して欲しい気持ちに拍車が掛った。
「伊地知さん、ちょっぱやでお願いします!」
校門の前で降ろしてもらい職員室に寄ったが担任の五条悟は居らず、寮へと急いだ。伊地知の情報によると今日は一年全員が休みで学校内にいるそうだ。
男子寮の扉を開けると個人の特定はできないが複数人の話声が名前の耳に入ってきた。
「ただいまー、恵ー?」
聞いてはいけない内容であっては困るので存在を示す為に声を掛けながら歩を進めた。
「…ぇ、悠仁?」
角を曲がり目の前に現れたのは仙台にいるはずの想い人。杉沢第三の制服ではなくカスタムされた高専の制服に身を包み恵と五条悟と話している姿だった。
視界の端から聞えた名前の声に悠仁はピシリと身体を固めた。絞り出した声は何とも情けなく、小さかった。
「な、んで名前がここに…」
「いや…それはこっちの台詞…」
お互いの疑問が解決せず未だ混乱の渦中にいる二人を見かねて五条悟が状況説明を申し出た。
つらつらと語られる事の次第に二人は違った反応を示した。
「悠仁が宿儺の器…?死刑?何それ、」
「名前やっと会えた。嬉しいよ」
「二人の会話成立していないですよね」
「方や悲劇の再会、方や感動の再会だからね」
名前が来る前にしていた話
「悠仁、この前から思ってたんだけどすごいもの持ってるよね」
ちょっと見せて、と悟が手にしたのは悠仁のスマートフォンだ。興味があるのはストラップの方であるが。
悟は目隠しをずらしその透き通った瞳でそれをじぃっと見つめた。
「なに?どうしたの?」
「強力な呪力が込められているね」
「そうなの?それ幼馴染に貰ったんだ」
ちょっと不思議ところがあるやつだから呪いがこもっていてもおかしくないかも、 と笑う悠仁を一瞥し恵は以前似たようなものを見たことを思い出していた。