感動の再会を楽しんでよ、とどこかに行こうとする五条先生を引きとめ報告書を押しつけたのち野薔薇に土産を渡し急いで悠仁の部屋に向かった。
ノックを三回、部屋の中からバタバタと取り乱す音が聞え少し冷静さを取り戻した。
「…どうぞ、」
言われるがまま悠仁の部屋に足を踏み入れた。まだ入寮したばかりのようで部屋の中は昔よりこざっぱりしていた。――あ、あのポスターまた貼ってる。
五条悟は凄い術師ではあるが何せ第一印象が良くない。失礼だけど平気でうそをつく人間だと思っているので先の話が実はおとぎ話で私をからかっているのではないかと疑っていた。
ベッドに腰掛けすぐに本題に入ろうと短く息を吸った。
「それで、あの話は本当なの?」
「おう。先生が言った通り、俺宿儺の指食っちゃったの」
と受け入れている様子の悠仁は軽く言っているが大ごとだ、全く理解できない。脳が理解を拒否している。
だって、なんで、悠仁が?
…人を、親しい先輩を助けたいか故の行動、悠仁ならやりかねないことはわかる。しかし状況が分かっても混乱は収まらない。
私はこれからどうしたらいいのか、良くない頭をフル回転させていると悠仁が口を開いた。
「名前はさ、なんで何も言わずにいなくなっちゃったの?」
悲壮を漂わせる悠仁に私は幾度も繰り返した謝罪を初めて本人の前で口に出した。
「悠仁、ごめんね。私が悠仁の近くにいると危険だったの。高専に入ることは生れたときから決まってて入学したら悠仁のこと守れなくなっちゃうから…だから…あの、」
要領を得ない言い訳じみた言い方しかできないのか、私は。言葉を詰まらせた私を悠仁は抱き寄せた。
「名前ありがとう。いつも名前が守ってくれてたんだな。ごめん、ありがとう。でももう勝手にいなくならないで、お願い」
自分勝手な私を悠仁は赦してくれた。一雫、ほろりと頬を伝って悠仁の肩にシミを作った。