スイカ シャク。と、小気味良い音が小さな頤から響く。愛らしい口元を躊躇いなくあけて、一口。食まれて、砕けて、呑まれた赤い果実は薄い喉を落ちていく。ふくらとした唇が滴で艶めくのを、桜貝の指先が拭う。不意に陽の瞳がこちらを向いて、恥じらいがちに笑んだその青に、一層夏が濃くなった気がした。 ← back → top