タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
夢じゃなかった
2021/05/20


 ひたひたと迫るのは死神の足音か。幸運なことに、女神に崇められ神様になった俺は、身近な死の匂いに慣れることはなかった。だから、油断していたんだろうか。君がいる限り、無敵だ、なんて。俺の敵は、君を連れ去ってしまう神様のような何か、それだけだからと。俺が、君から離れる勘定はしていなかった。離れるつもりなんて微塵もなかったから。俺がそう思っていても人間の体は外からの衝撃ですぐに壊れるものなんだって、知っていたはずなのに。知らなかった。俺はいつも、失いかけてから気付く。馬鹿な男だろう。ハロの方がきっと賢い。君も、俺が犬の方がきっと安心するだろうな。リードをつけて君のそばを離れず、言うことをよく聞いて、かわいらしく、そして君を守るにふさわしい勇ましさ。

「ふるやさ、」

 でも俺が犬だと人間の君と恋ができないから、

「起き、まって、なーすこーる、」
「今ならしんでもいいなあ」
「なん、死にかけてた人がなんてこと言うんですか!」

 ばか!ばか!と涙をぼろぼろ流してしまった君の涙を拭えないから、やっぱり、神様でも、犬でもなくて、人間が良い。