タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/09/16


 天気のいい甲板に寝転がりながら目を瞑ってぐるぐるぐるぐる考える。ぐるぐるといえばサンジくんのあのかわいい眉毛だな、なんて思考回路がそれて呻いた。それた、なんて言いつつそれてない。だって頭の中心にずっと陣取っているのはサンジくん。寝ても覚めてもサンジくん。思わず笑って、諦めた。
 こんなにぐるぐる想像上のサンジくんのことを考えるくらいなら、現実の、目の前のサンジくんを見つめる方がよっぽど有意義で楽しくて幸せで。見つめるだけじゃなく、話したり、触ったりすればサンジくんも笑顔で返してくれる。なにを考え込む必要があったんだろう。
 ぱちり、と目を開ければ目の前いっぱいに広がる眩しい金色に目を眇める。さっきまでずっと思い浮かべていた人がそのまま目の前に現れて、あれ、目を開いたつもりだったのにまだ開いていなかったっけ、なんてぼけて何度か瞬きを繰り返した。

「本物じゃん!」
「どゎッ……!」

 だけどやっぱり目の前でさらさらと金糸を揺らしているのは本物のサンジくんで思わず声が漏れた。そんな私の急な大声に驚いてバランスを崩したのか私の顔横に手をついて固まる。

「寝、……お、おきてたの」

 目を白黒させて呟くサンジくんに頷きながら寝転んでただけだよと返せば壁ドンならぬ床ドンをしたまま固まるサンジくんに首を傾げる。

「寝てると思って運んでくれようとしたの?」
「いや、その、ええと、いや」

 ありえないくらいにきょろきょろと目を動かして狼狽えているサンジくんに思わず頬が緩む。そのあまりの狼狽えっぷりと若干伸びている鼻の下に何をしようとしていたのかの検討もだいたいつく。サンジくんだって私に(きっと私じゃなくて女の人なら誰でもいいのかもしれないけど)勝手なことをしようとしたんだから、私だってサンジくんに勝手なことをしたっていいでしょう? 誰に聞くともなくそう考えて、狼狽して隙だらけのサンジくんに腕を伸ばした。

「へっ?!」

 右往左往していた目ががっちりと絡まる。まんまるく開いた目を見つめながら首に回した腕を引き寄せて唇をほんの少しくっつけて小さく笑った。